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    対距離課金の導入検討 大型車の負担増

    2015年8月13日

     
     
     

     トラック運送業界で契約内容の書面化が推進されているとはいえ、荷主との交渉の場を持てず、いまだに高速道路料金が含まれた運賃で仕事を請け負っている運送事業者は多い。こうした事業者は経費削減のために一般道路を利用する傾向にあるが、受益者負担の観点から、ゆくゆくは高速道路と一般道路との料金制度がフラットになり、結果的に大型車の負担が増える可能性が出てきた。
     国交省の社会資本整備部会道路分科会国土幹線道路部会が7月30日に公表した、「道路を賢く使う取組」の中間答申(2面に詳細)では、幹線道路の将来の維持管理費の負担のあり方の一つとして、一般道路における大型車対距離課金の導入が今後の検討課題として掲げられている。一般道路と高速道路の料金の差を少なくすることで、大型車の高速道路の利用を促し、生活道路との機能分化を図り、安全を確保する目的だが、現状のまま進めば、運送事業者はさらに厳しい経営環境に陥る。


     同省道路局によると、東京港から東京以北へ向かう国際海上コンテナ積載車両のうち、約6割が首都高を利用せず、さらにその6割が中央環状線内側に一般道を走行している(申請経路数約26万件)。国交省はこれらを安全面の課題とし、高速道路への交通の転換を促進するとともに、生活道路への通過交通の流入を少なくすることで生活空間を改善し、安全を確保しようとしている。これまでの部会内では、一般道路を走行する大型車両にも課金し、高速道路との料金水準を同レベルに引き上げることで高速道路の利用を促すという案が出ていた。
     コンプライアンスが求められる中、千葉県成田市の事業者は「ETCの割引率を10%でもあげてもらえば、ドライバーの負担減や安全面から高速道路を使うよう促せるが、現在の運賃水準では厳しい」とこぼすが、世界の主流は「大型車対距離課金」というのが現状だ。
     大型貨物車両は、ほかの交通機関に比べてインフラ費用の負担が少なく、環境への負荷が大きいことから、欧州連合(EU)でも日本同様、「受益者負担」の考えが原則となっている。しかし、道路は原則有料とする国も多く、原則無料で高速道路にのみ課金しているのは、スウェーデン、オーストリア、デンマーク、オランダなど。イギリス、ドイツ、スイスは一般道路への課金を実施している。
     EUは市場統合の結果、国境をまたぐ大型貨物車の通行が増加し、インフラ利用に関する負担の公正の観点から、道路インフラ課金に関するルール(EU指令)を制定した。当初、車両総重量12トン以下の車両を対象としていたが、2006年には3.5トン以下に引き下げを行っている。2011年には、料金水準に大気汚染、騒音などの外部要因も考慮するようになった。
     全ト協(星野良三会長)など関係団体は、今年1月から2月にかけて行われたパブリックコメントで、「営業用トラックが公共輸送機関としての使命を担っていることに配慮したトラック特別料金制度を創設すべき」と要望している。
     事業者も、「軽油引取税などはもともと道路特定財源だったため、ある程度納得していたが、一般財源になっている今、受益者負担だからと、さらに大型車に課金するのは理解できない」「高速道路を通らせたいというのなら、一般道路ではなく高速道路を無料にすべき」と話している。
     今回の中間答申では、一般道路における大型車対距離課金の導入など、幹線道路の将来の維持管理費の負担のあり方については、「諸外国の事例も参考に、広く意見を聴取しつつ、税金による負担との関係も含め、これまで以上の課題認識を持って検討すべきである」との記述に留められている。
     道路をとりまく全ての人々が、いかに最適に過ごせるかという観点から進められている議論だが、荷主との取引環境の健全化が図れないまま施策が進めば、トラック運送事業者へのダメージはあまりにも大きい。
    ◎関連リンク→ 国土交通省

     
     
     
     
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