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    「手当」は本当に有効か?

    2017年7月12日

     
     
     

     人材不足の運送業では、あの手この手で人材を集めようと工夫をこらす企業が目立つ。そのような中で、手当を充実させることで求職者を惹きつけるという手法がある。一見すると、社員思いの良い会社のような印象を受けるが、「無事故手当」「皆勤手当」などではなく、「住宅手当」や「家族手当」などがある会社は、社員の「評価」に無頓着で公平さに欠ける会社ともいえる。成果主義の広まりとともに、年功序列ではなく、給与を「評価」で決めようという流れが、社会全体の主流になりつつある中で、手当についての考え方も変化しているようだ。
     例えば、従業員が居住する住宅に関わる福利厚生の中で、よく目にする住宅手当。同じ働きをしていても、一人暮らしの人には数万円の家賃補助が出る一方で、同じ会社で実家暮らしの人には何の補助も出ないということになる。
     終身雇用が前提だった時代は、こうした福利厚生策は社員のモチベーションを維持する上で重要な役割を果たした。しかし時代は変わり、そもそも福利厚生の考え方が大きく転換しつつある。企業側は総人件費を抑制し、成果をあげた人には厚く、そうでない人には薄くという配分をとるようになった。従業員側にとっても、押しつけの福利厚生より給与総額を増やしてもらい、その中でやりくりするという傾向がある。手当は、社員のことを考えているようで実は会社にとって都合のいい、公正さに欠ける制度かもしれない。


     また、家族手当にしても同じことがいえる。少子化対策として、子どもが増えたら手当を増やす会社が増えてきたが、子どもの人数と会社での評価は、本来無関係だ。住宅手当にせよ家族手当にせよ、根拠のない曖昧な理由で福利厚生を手厚くしている会社は、総じて「評価」に無頓着な傾向があるのではないだろうか。
     中小・零細企業におけるオーナー社長の「誰々は頑張っている」という言葉は、人事評価の上で要注意ワードではないだろうか。逆に、「あいつはダメだ」「あいつをどうにかしろ」という言葉を頻繁に聞く会社も、明確な評価基準や具体的な根拠もなく、特定の人物を低く評価していることが多くあるようだ。オーナー社長による判断は、「究極の主観的な人事評価」といっていいのではないだろうか。そうした人事は会社全体に悪影響を与える。明らかに、えこひいきとしか思えない人事によって社員全体のモチベーションが下がり、会社の業績も急降下してしまう。
     こうした事態を防ぐには、やはり評価基準を明確にし、社長の独断がすべてにならない適切な人事制度の仕組みをつくり上げるしかない。「以前働いていた会社は、基本給とみなし残業のみで、その他の手当は横並びで一切なかった。そのため、成果を上げて、昇給を目指すしかない。分かりやすくて極めて平等だったと思う」と、大阪府内の事業者社長は、かつての経験談を話す。
     しかし、基本は仕事の成果に対する評価としての賃金体系であったとしても、評価以外の抜け穴として手当などの使える制度が残っていなければ、働きづらい会社になってしまうという意見も聞かれた。
     手当に話を戻すと、配偶者手当がもらえなくなることを懸念し、共働き世代の女性が働く時間を調整し、年収が増えすぎないようにするなど、手当による女性の社会進出を阻害する事例がある。近年、政府が見直しをすすめ、企業には配偶者手当を廃止し、子どもに対する手当を充実させた例もある。「一億総活躍社会」を実現するためには、社会の発想や制度を大きく転換することが求められる。こうした中で、手当の見直しも企業内部で求められるのではないだろうか。

     
     
     
     
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