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物流ニュース
移動式クレーン車の警報機 義務付けに現場は
2018年11月29日
クレーン付きトラック、いわゆる移動式クレーン車は、荷物の積み込みや、現場での配送などで非常に役に立ち、重宝されている。移動式クレーントラックの吊り上げ重量は、およそ2.9トンで、3トン未満が主流。このクレーンについては荷重計が備えられている。しかし、配送先の現場で、足場が悪いところや高所の現場での配送なども資格を保持するトラックドライバーが操作しているが、現場の要望などで過負荷により、バランスを崩して横転する事故も多いという。この関係から31年3月以降に製造される3トン未満の移動式クレーンについては、警報機もしくは過負荷により操作停止装置などの設置が義務付けられるようだ。
大阪労働局の担当者は「3トン未満の移動式クレーンは荷重計だけが装備されていて、過負荷にもかかわらずオペレーターが作業を続けて横転などにより労働災害が発生していることから、来年3月以降に製造される3トン未満の移動式クレーンについては、警報機もしくは過負荷で操作できない装置を設けることが義務付けられる。既存の移動式クレーンについては、法律に違反はしないが、やはり労働災害や横転を防止するためにもオプションで警報機などの設置をお願いしたい」と話す。
同警報機などの設置が義務付けられることを知る大阪市の運送A社では「移動式クレーンの販売店から、来年3月以降製造の移動式クレーンに警報機などの設置が義務付けられることは聞いている。メーカーの中には2種類の警報機付き移動式クレーンを販売するところもあり、一つは音で危険を知らせ、もう一つは危険を感じて過負荷になった場合に操作が出来なくなるタイプだ。当社では、それを耳にして、作業などに支障が出ては困るため、現在、慌てて新車を発注し、警報機が設置されていない移動式クレーンを導入した」と話す。
A社社長は「当社は、現場への配送が多く、ドライバーと作業員が吊り上げ操作で喧嘩する場合もあり、どうしても無理を求められる。作業をこれ以上出来ないと断ることは、トラブルにつながる可能性があるので、今のうちに警報機などが設置される以前の移動式クレーンの購入を希望している。過去にはドライバーが移動式クレーンの操作で喧嘩となり、荷主から出入り禁止になったこともあるので、ある程度は無理をしてでも吊り上げ作業をするしかない」と語る。
また、移動式クレーントラックを保有する運送B社では「当社では、配送先として現場が多く、機械や材料を移動式クレーンで荷台から地面に下ろす。いつも荷重計は無視して操作しいるので、もし警報機などが設置されれば作業の効率が落ちてしまい、かえって作業が行いにくいので、操作する側とすれば、警報機の設置義務付けは困る」と話す。
しかし、作業の安全性について、現場で無理が出来ないため危険防止にはいいのでは、と問いかけると、B社は「ドライバーも長く移動式クレーンを操作しているので横転の危険など十分に理解している。横転しそうになれば無理はしない。横転や労災が発生する大半はクレーン操作の経験の少ない人間ばかりなので、ベテランドライバーからすれば、警報機は、正直なところ邪魔になるのかもしれない」と語った。
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