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物流ニュース
冠水トラックの危険負担金 契約通りに一括請求
2019年1月21日
自然災害によって全損と判断された大型トラックについて、所有権を持つリース会社が12月下旬、ユーザーのトラック運送事業者に対して残債約1700万円を一括して支払うよう請求していたことが分かった。同リースの契約書には、「車両の滅失、毀損」に関する定めの条文があり、リース会社による請求は、この条文をそのまま適用したものと見られる。自然災害時に関しては経済産業省が、「被災した企業に一括返済を請求するのはいかがか」として、同契約書にある一括払いのような無理な請求をしないよう求める通知をこれまで複数回、リースの業界団体に対して出している。リース会社は本紙取材に、今回の一括請求を変えることはないとの姿勢を示している。
一括支払い請求の対象となっている大型トラックは、昨年9月の台風21号がもたらした高潮によって海水に沒した。トラック事業者によると、神戸市東灘区の大規模人工島「六甲アイランド」内の車庫に停めてあった複数の大型トラックが冠水。リースによって調達したトラックが複数台あり、複数のリース会社と契約していた。
今回トラック事業者に一括支払いの請求をしているのは、近畿を中心に展開する「近畿総合リース」(八木正人社長、大阪市北区)。両社が2017年9月に交わした契約書面によると、「地震等の天災地変」など、リース会社の責任によらない車両の滅失、毀損に関しては、残債金額に相当する「危険負担金」をトラック事業者が「一括現金により支払う」ことが盛り込まれている。
近畿総合リースは本紙取材に対し、「車両の滅失、毀損」を定めた、この条文を適用し一括請求したとしている。そのうえで同社は、「トラック事業者には金利の減免や、支払い時期を遅らせていることなどで協力させてもらっている」とし、両者の契約内容などから一括請求の正当性を主張している。
トラック事業者によると、冠水したトラックのリース契約がある複数のリース会社の中で、最終的に一括請求を受けているのは近畿総合リースからだけで、「他のリース会社には3回から6回の分割で支払うよう協力してもらっている」と話している。そのうえで、「協力してもらっている他のリース会社にも気の毒。また、こうした請求で極端に資金繰りが狂うような他の運送会社もある」として、リース会社との取引に警鐘を鳴らしている。
リース契約全般に関して、自然災害時に一括請求のような無理な請求をしないよう求める通知文を出している経産省は「社会的な批判を受けないよう、リース業界の振興の観点から通知している。災害時であっても危険負担に関しては、リース契約はリース会社が損をしないような契約になっている」(消費経済企画室)と話している。
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