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物流ニュース
日建リース工業 新たなビジネスモデル「LPS事業」開始
2008年5月8日
物流機器のレンタルを展開する日建リース工業(関山正会長、東京都千代田区)が、新たなビジネスモデル「LPS(LOGISTICS PACKAGE SYSTEM)事業」を立ち上げた。
外資系企業や新規事業者の参入、またその影響による契約期間の短期化など、倉庫業を取り巻く環境は激変している。同社の北里寿秀常務取締役は、「この激変の波にお客さまのビジネスが対応できるよう、新たな貢献の形を探った」と、同事業誕生の経緯を語る。
伊勢進部長(左)と北里寿秀常務取締役
LPS事業は、同社のこれまでのノウハウの集大成とも呼べるもの。同事業の立ち上げを推進した同社物流機器事業本部・LPS事業部の伊勢進部長は、「立ち上げに際し、百社以上の顧客からヒアリングを行った」と振り返る。その中でつかんだ顧客の課題が、「物流機器の選定・導入に手間とコストがかかりすぎる」というものだった。
これに応えるのが、機器選定の「窓口」となり、倉庫内で使う機器全般の選定を請け負い、最適なレイアウトを提案していくサービス。同部長は、「機器ごとに見積もりをとっていたケースに比べ、大幅に手間を省くことができる」と説明。また、「独立系のためメーカーに左右されず、お客さまにとって最適な製品を提案できるのが強み」という。
契約方法にもバリエーションを持たせ、従来の「販売」「リース」「レンタル」に、新たに「買い戻し特約付き販売」を追加。これは、購入した製品が不要になった際、購入からの経過期間と商品状態に応じて、同社が製品を買い取る契約方式で、機器を購入・保有することで生じる「持つリスク」を極力排除する。荷主との契約が「短期」あるいは「不透明」だというケースが増えつつある昨今の事情に対応したサービスだ。
また、同販売契約は、レンタルの「契約を続けると、いつか購入費用を上回る」、リースの「中途解約ができないうえ、税法改正で固定資産に計上することになったため、借り手には従来ほどのメリットがなくなった」など他の契約方法の課題もクリアしている。買い戻し額を、次の機器の購入資金として使えるのもメリット。
なお、同社が買い戻した機器は、メンテナンスが施された後、再び販売やレンタルにまわる。全国に120か所を超える拠点を持ち、きめ細かなネットワークがあるからこそ可能な展開だと言える。
LPS事業のもう一つの目玉が、「三次元での倉庫内シミュレーションの提供」。3D─CADの技術を駆使した同社独自開発のソフトにより、顧客の要望に合わせてPC上での庫内シミュレーションを実施。ラックやマテハン、フォークリフト、作業人員に至るまで、最適な数や配置を割り出せる。
同社から顧客への提案時に用いるのはもちろん、「(同社顧客が)荷主へ提案する際の営業ツールとして使っていただくことも考えている」という。同部長は、「(二次元の)設計図面を見ながら話をしてもイメージがわきにくい。3Dを見ながらであれば、提案の説得性も格段に増すはず」とした上で、「他社との差別化にもなる」と話す。
新築の施設なら、竣工前の荷主獲得営業に、既存施設の場合は現場改善のための効果検証にと、アイデア次第で使い方はさまざまだ。なお、同システムの利用そのものに料金が発生することはない。物流企業が同システムを使って営業をすることで、同社の機器販売・レンタルにつなげるのが狙い。
最適な倉庫空間を提案して機器導入までの「無駄」を省き、契約内容の工夫により機器の廃棄や退蔵を防ぐ―。会長直轄のプロジェクトとして立ち上がったという「LPS事業」は、同社の経営テーマである「環境と資源への貢献」を体現している。
同部長は同事業を通して、「お客さまとその先の荷主と我々、三者にメリットのある『トリプルWIN』を目指したい」と話す。
同社のURLは、http://www.nrg.co.jp/nikkenlease/ -
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