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物流ニュース
「電気自動車」という選択肢 燃料高騰で切り替えも
2008年6月17日
環境問題と燃料価格高騰で、事業用車両を電気自動車に切り替える選択肢が登場している。値上げが続く石化燃料より、電気のほうがコスト削減できる考え方だ。
すべての車両を順次、電気自動車にするという郵便事業。広報部では、「検討中で、まだ計画として確定してはいない」と説明する。現在はハイブリッド車を一部導入しているものの、電気自動車は使用していない。しかし、「排ガスの削減は限界がある。やがては(電気に)せざるを得ない」とする。
使用する車両は8年で入れ替える計画だが、電気自動車への代替えには「膨大な台数にのぼるので、メーカー側が供給できるかどうか、また充電装置の設置、運用の方法など課題は多い」と話す。
電気自動車は三菱自動車が09年に軽自動車の市販を予定。日産も10年に新型電気自動車を市販する。
実用化へのカギはモーターやバッテリーの性能にあり、電池メーカーの動きが活発だ。ジーエス・ユアサコーポは三菱商事、三菱自動車とリチウムイオン電池を製造する合弁会社リチウムエナジージャパンを設立し、09年度から電気自動車用に量産を開始する。NECラミリオンエナジーも09年度までのリチウムイオン電池供給を表明している。
電気自動車は走行中にCO2がまったく出ない。発電所での発生量を考慮してもガソリン車の4分の1、ハイブリッド車の2分の1と、もっとも環境性能の優れた究極のエコカー。自治体でも力を入れ、神奈川県では購入時の優遇策を設け、09年度から14年度までに県内3000台の普及を目指している。
電気トラックは日本では話題にならないものの、海外では導入されている。最近でもTNTがイギリス、中国、オーストラリアで電気トラックを導入することを発表。
国内では運送事業者が電気トラックの実用モデルを独自開発している事例もある。昨年、エス・ティー・エス(神奈川県大和市)は、電気自動車の開発製造のエジソンパワーとともに、ディーゼルエンジンをモーターとリチウムイオン電池に乗せ替えた、電気トラック実用モデルを発表し走行。2tトラックを改造したもので、改造費用は約1000万円。業務用200Vコンセントで8時間充電し100kmの走行が可能だった。
また、エンジンがないため騒音がない。これはトラックでも同様で、環境性能や燃料コスト以外にも、配送時の騒音対策にも有効。
■低公害車両の行方は
東京23区でごみを収集するパッカー車は、ほとんどがディーゼル車とCNG車。ハイブリッド車が一部導入されているが、電気自動車はまだだ。パッカー車の持つ独特の課題も関係している。
パッカー車は、ごみをバケット内でプレスしてから詰め込む機械が架装されている。このプレスする機構を回転させる動力には、トラックのエンジンを使用。油圧ポンプを動かし、回転させるにはディーゼルエンジンに匹敵するパワーが必要で、電気ではまだ課題が残る。
ハイブリッド車導入の地域もあるが、「ハイブリッド使用は走行時だけ」(東京23区清掃協議会事業調整課)という状態。ごみを積み込む際にはハイブリッドのディーゼルエンジン部分を使用している。
架装部分を電気で稼働できれば、「作業中の騒音も排ガスもなくなるが、まだ開発されていないと思う」という。
電気自動車になれば、走行用とは別の架装を動かすバッテリーを搭載する必要がある。架装の重量に加えて、バッテリーの重量が加算されると、何も積載できないような状態にもなってしまうため、さらなる工夫が必要だ。
ごみ収集用の低公害車両としてはCNG車かLPG車が主流だったが、「最近はディーゼル車も見直されている」という。ディーゼルの技術が進歩し、CO2排出量も少なく、以前のような環境に悪いという認識は改められている。
作業時には力のあるディーゼルエンジンのほうが効率がよい。災害発生時などには、やはり燃料インフラが整っているディーゼル車を使用するほうが便利な時もある。
LPG、CNG車などが普及してきたが、今後はそれぞれの長所を生かす、ハイブリッド車の使用を検討している。 -
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