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    KDDIが電報事業に参入、配送は日通が担当

    2008年9月9日

     
     
     

     KDDIの子会社・KDDIエボルバは、同社が展開していた国際電報「でんぽっぽ」を国内に展開する形でサービスを開始した。
     平成16年の特定信書便法施行以来、電報市場には参入が相次いだが、サービスの特異性からかシェアを伸ばす参入企業はなく、NTTが市場を独占しているのが現状だ。同社は明快なサービスコンセプトと日本通運との提携によるネットワークを武器に、年間2000万通・600億円と言われる市場で2割程度のシェア獲得を目指す。


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    説明をする中村室長(左)と平井孝典氏
     「でんぽっぽ」は申し込み窓口をインターネットに集約し、コールセンターなどの運営費用を発生させないことで利用料金を割安に抑える。また、三号役務(1通1000円超)でサービスを提供し、NTTが課せられている「3時間以内の配達」などには対応しない。
     この理由について、同社事業開発室の中村真二室長(写真左)は「昨今、電報にそこまで緊急性が求められることはあまりない。世の中の実態に沿ったものを提供する」と説明。過剰なサービスを排除することで、「NTTと比べた場合、同内容のサービスを約2割程度安く提供できる」という。
     また、料金体系の分かりやすさも特徴。NTTは文字数に課金されていく仕組みだが、「でんぽっぽ」は基本的に「台紙の料金」のみ。350文字まで自由に書くことができ、なおかつ「縦書き」「横書き」「罫線」「画像の有無」など、レイアウトにも自由度を持たせた。日比谷花壇と提携し、フラワーギフト付きのオプションメニューもそろえる。
     この狙いについて同室長は、「定型文ではなく、自分らしくメッセージを伝えて欲しい。『言葉を伝える』という電報の本来の機能を生かしたかった」と商品開発の思想を明かす。
     現在の電報市場は、そのほとんどが慶弔の用途に絞られるが、同室長は「慶弔や記念日のほかにも、使い方はいろいろある」とし、慶弔市場でのシェア獲得に加えて新たな市場の創造を狙う。「電話やメールに並ぶ『コミュニケーションツールの一つ』として、もっと気軽に使えるようにしていきたい」と目標を定め、利用促進につながる商品開発・サービス体制の構築を進めていく構えだ。
    ■配送は日本通運が担当、9拠点を構える
     「でんぽっぽ」の配送は日本通運が手がける。同サービスの開始にあたって、日通は全国に9つの電報配送拠点を設けた。この拠点で全国の95%のエリアをカバーするが、残りの配送不可能エリアは、日通が提携する日本郵便のネットワークを活用するという。
     KDDIエボルバが日通との提携を決めたのは、日通の国内ネットワークはもとより、「海外拠点の多さも魅力だった」(中村室長)。というのも、すでに国際電報サービスを展開する同社は、今回の参入で「国内・海外を合わせた電報ネットワークを持つ唯一の通信事業者」となる。
     現在は、各国の物流事業者との提携により事業を展開しているが、「今後は、国内と同等レベルのサービスを海外でも提供したい」とし、その際には、日通の持つ海外ネットワークを活用することも視野に入れているという。
     また、「でんぽっぽ」は、日比谷花壇との提携によるフラワーギフトも目玉の一つ。同様のサービスは他の電報事業者にもあるが、「葬儀場は閉鎖的な業界で、『出入りの花屋しか入れない』ところもあり、花の配達ができないケースも多いと聞く」(同)という。
     このネックに対して、「でんぽっぽ」は、日比谷花壇の持つ「イーフローラ」のネットワークを駆使した上で、最終的な配送を日通が受け持つネットワークでサービスを展開。依頼を受けた花屋が日通の営業所に花を持ち込み、日通が電報と一緒に小包として持ち込むことで「出入り禁止」を打破し、顧客ニーズに応える。
     日通とのタッグで推進している同サービスだが、提携先については「日通に限定しているわけではない」とも。実際、物流事業者からのアプローチも多いという。ただし、「KDDIブランドで展開していく以上、ハードルは高い。たとえば日通さんには、3か月分の電報在庫を持っていただいている」。輸送品質はもちろん、設備投資やセキュリティの確保など、「信書」を安全に取り扱うだけの体制構築が求められる。

     
     
     
     
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