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    運輸局プランに相反する内容、事故減少率を低めに誘導?

    2011年2月17日

     
     
     

    truck4_0214.jpg 営業用自動車、なかでも近畿地方での事故数がほかと比べて多いことを根拠に作られた、事故防止策に関する近畿運輸局の行動計画の記載に重大な欠陥があることが分かった。根拠となる事故件数を把握していたか、容易に把握できていたにもかかわらず、近畿の営業用自動車の事故減少率を低めに誘導したともとれる記載をし、誘導後の記載で文書全体をまとめ上げていた。同運輸局がこのほど提供した資料を本紙が計算し直したところ、近畿の営業用に関して事故の減少率が特に低いという論拠が成り立たなかったり、あやふやだったりする箇所が数多く見られ、行動計画そのものの論拠が崩れかねない。計画は、今後10年間近く同運輸局による営業用自動車の指導指針になるもので、「今のところは修正で済むと考えており、修正を検討したい」(同運輸局保安環境課)と話している。



     4日現在、同運輸局のホームページに掲載されている内容によると、行動計画は「近畿グリーンナンバーセーフティプラン2010」と名付けられ、昨年12月3日付でまとめられている。同運輸局をはじめ、近畿地方整備局、近畿管区警察局といった行政機関や近ト協などの民間団体など、計10団体を構成メンバーとする「近畿地域事業用自動車安全対策会議」が、「プラン」をまとめるにあたって、一昨年6月以降計3回、会議を実際に開いたという。

     プランは冒頭、国内交通事故数が着実に減少傾向にあるにもかかわらず、「事業用自動車については、全体的に事故件数、死者数ともに自家用自動車と比べると減少の歩みが遅く、特に近畿地域の事業用自動車による事故発生状況及び死者数は全国と比べて減少率が低い」と述べる。減少の歩みの遅さや減少率の低さという考え方に言及することで、営業用の、なかでも近畿の営業用による事故対策の遅れや業界体質の前近代性といった印象を醸し出す内容だ。

     では、こうした主張はどのデータに基づくものなのか。近畿地方の運送事業者は「経営環境が悪いなか、安全対策にみんな熱心に取り組んでいる。荷動きの悪さも手伝い、肌感覚では営業用の事故はむしろ減少していると思うが…」と主張する。

     プランには関係資料としてデータが添付されている。全事故件数を表すグラフでは、全国レベルにおける営業用の事故減少率が、営業用以外も含めた「全自動車」による事故の減少率を上回るデータを掲載。つまり、全国レベルでは事故の減少幅が大きかったのは、全自動車よりも営業用で、全体の事故削減に営業用は貢献したといえる。プランの趣意を書いた冒頭の文書と相反する内容だ。

     他にも、出典があやふやなデータが多数あり、本紙が元となるデータを提供するよう同運輸局に求めたところ、提供されたのが「表」のような数値だ。ここでは、近畿の営業用による死亡事故件数の減少率が、全国の営業用によるものよりも2ポイント程度大きくなっている。

     つまり、近畿の営業用は全国の営業用より大幅に死亡事故を減らしたことになり、ここでもプランの趣旨と反する。
     営業用、なかでも近畿の事故率の減少が、ほかと「比較して」低いことを論拠に作られたプラン主張の大きな論拠が数字から見て崩れている。数字の使い方があいまいすぎるとの指摘に対し同運輸局は、「単なる誤記入」との見方をしている。

     近畿のプランは、一昨年に国交省が作成した全国版「事業用自動車総合安全プラン2009」を地域レベルで補強するために作られた。いずれのプランも、18年までの営業用による死亡事故件数、人身事故件数の数値目標を定めて、行政主導で事故抑制を図っていくもの。(西口訓生)

     
     
     
     
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