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    廃業…住環境変化が家具配送に影響 家具を買わない消費者

    2011年2月17日

     
     
     

     大阪府八尾市にあった運送会社が昨年12月末で廃業していたことがわかった。家具の輸送を主力に事業を展開してきたが、近年の家具取扱数量の減少、配送単価の下落に歯止めがかからず、事業に終止符を打ったようだ。ここ数年のうちに家具業界は全般的に大きく変貌しており、住居環境の変化とともに、ユーザーの家具に対しての認識の変化や、大手量販店の相次ぐ出店攻勢などの影響で大きく様変わりしてきている。



     関係者の話によると同社は当初、家具の卸会社の配送部門を担い、最盛期には車両20台で事業展開していたが、卸会社の事業縮小で大手家電量販店の家具輸送に携わるようになった。しかし、家電量販店が買収され、事業の統廃合の後、家具部門を廃止することになり、新たな荷主開拓を模索していたが、経営環境は厳しい状況が続いていたようだ。

     かつて家具の配送業務を行っていたという大阪府の運送会社社長は、「百貨店から家具売り場が姿を消したように、消費者が家具を買わなくなった」と話す。「家具のクローゼット化が進んでおり、新築の一戸建て住宅やマンションでも最初から家具が埋め込まれており、家具を必要としない環境になってきている。売れるのはリビング内のテーブル、ソファ程度で、部屋のスペースを大きく取る大型家具は特に売れていない。テレビだけが大型化している」と、住居環境の変化が影響していると指摘する。

     会社の看板に「引越・婚礼」と書いて事業を展開している大阪府の別の運送会社社長は、「婚礼家具の配送は、昨年たったの1回だけだった。昔は平ボディー車に家具を積んで紅白のタスキをかける姿が多く見られたが、年々減っている」と話している。

     また、「家具に対する意識ががらりと変わった。昔は、家具は『一生もの』という考えだったが、今は消耗品という認識。特に若い世代は家具専門店よりも全国展開している量販店、ホームセンターなどで購入している」と、消費者の認識の変化があるという。

     数年前まで百貨店の家具配送を請け負っていた奈良県の運送会社は現在、通信販売の家具を扱っている。百貨店の家具の売り上げが低迷し始めた10年くらい前から、家具についた傷は、それまで百貨店の負担としていたものが全て運送会社の責任となり、弁償させられていたという。

     「百貨店側で梱包された輸入家具を配送し、届け先で開梱して傷があった場合、全て弁償させられていた。家具を扱う運送事業者は四苦八苦している」と訴え、「町の家具屋は撤退し、大手量販店かブランド力のある高級家具店に集約されてきており、業界再編はますます進む可能性がある。運ぶ側も低価格で効率よく配送できるシステムが求められており、従来の形にとらわれては足元をすくわれかねない」と話す。(大塚 仁)

     
     
     
     
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