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関東への傭車が見つからない 錯綜する震災情報
2011年3月25日
「信号機が突然消えて、危うく衝突するところだった。いつも頼んでいる関東の事業者が来ないから仕方ないが、できれば走りたくない」と興奮ぎみに話す姫路ナンバーの4トンドライバー。「計画停電の話は聞いていたが、関東の地理に詳しくない者にとっては自分のいる正確な場所がどこで、いつ停電になるかわからない。高速道路もSAも真っ暗だ」と神戸ナンバーの大型ドライバー。一方、岡山市の運送会社では「名古屋を過ぎると燃料確保が難しいという情報が流れていることもあって、傭車が見つからない。フル稼働で関東方面へ自社便を走らせている」と話しているが、震災関連の情報が錯綜するなかで物流関係者らも手探りの業務が続いている。
「前橋といえば群馬の県庁所在地で大きな都市。車の交通量も多いが、その街中で突然信号が消えた。危うく衝突事故を起こすところだった」と4トンドライバー。「停電の際に警察官が交通誘導している光景をテレビで見ていたが、すべての交差点ということではないようだった」と、当時の様子を説明する。「震災発生から関東地区へ入るのは3回目。周辺のコンビニに食料がないことも経験しているので、おにぎりやパンをあらかじめ買い込んでいる」という。これまでは「稼げる」という思いで長距離の仕事を買って出ていたが、いまは不満もあるようで、「家庭持ちではないので会社側も使いやすいのかもしれないが、現地の詳細な状況が把握できていないままで走る立場はたまらない」と話す。
高速道路の異様な雰囲気を口にするのは大型ドライバー。「電灯も全部消えて、行き先を記した案内標識もぼんやりとしか見えない。真っ暗な長いトンネルを走っていると、変な感覚に陥ってしまう」という。休憩しようと入ったSAでも状況は変わらない様子。「トイレも真っ暗で、停電だから自販機でコーヒーも買えない。売店は営業していたが自動ドアは開けっ放しで、店内のあちこちに置かれたロウソクの灯りが不気味」と話す。
「何も見えないから車内灯だけは消さないで寝ていた」が、燃料の残量も心配だ。不正改造や積載重量を改善する意味もあって、ドライバーが勤める運送会社は数年前から燃料タンクを一つ減らしているらしく、「会社から『SSを見つけたら少しでも給油して、常に満タンにするように』といわれているが、どこで入れていいかわからない」とぼやく。
一方、傭車が見つからないことで関東便を自社で賄わざるを得なくなっている事業者も目立つ。「内勤の幹部社員も総出の状態。通行止めなど途中でトラブルに遭わない限り、満タンで出発すれば帰りの軽油は大丈夫だが、待機する管理者も眠れない日々が続いている」と岡山市の社長。燃料が暴騰した2年半前を境に、長距離の仕事は基本的に傭車対応に切り替えていた。
情報が錯綜するなかで、「帰りの燃料が手に入らなかったら、関東への片道キップということにもなりかねない」(広島市の運送会社)という声も聞かれる。
西日本エリアでも16日ごろから「SSでは大型で200リットル、4トンで100リットル、インタンクでも半分ほどしか手に入らない」と給油制限の動きが出ているうえ、10円単位で値を上げている軽油価格がさらに物流現場を混乱させている。(長尾和仁)
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