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    同業他社のドライバー引き抜きに憤慨 紳士協定破る事業者

    2011年6月16日

     
     
     

     法令や契約書に明文化されていなくとも、同じ業界で生きるものとして互いの信用の上に成り立つ暗黙のルールがある。知り合いの運送事業者同士でドライバーを引き抜かないということも、そうした紳士協定の一つだろう。神奈川県内の事業者M社では、急にドライバーが退職することになり、荷主に迷惑をかけると謝罪した。だが数か月後、同じ荷主で積み込みを待っている元ドライバーを発見。調査してみると、すべては同業他社のドライバー引き抜き行為だったことが判明した。「これは紳士協定破りじゃないか」。同社では互いの信用さえ、何とも思わない同業者の行動に怒りを感じている。



     M社の荷主は元請け運送事業者で、実運送を担う協力会として5社ほどの運送事業者が仕事をしていた。社長が引き抜きに気がつくまでには、時間がかかった。経緯は次のようなものだ。

     ドライバーAが急に退職願いを言い出したのは1年ほど前。荷主での研修も実施し、仕事を覚えた後だった。「病気の妻を看護したい」というのが理由だった。社長は何度か慰留したが、その後に再び退職したいという話が出る。人材難の運送業界だけに、退職されるのは同社の経営には打撃だったが、退職を認めた。3月の繁忙期だったため、同社はAの退職でトラック1台が稼働できなくなり、社長は荷主を訪ねて謝罪した。一人のドライバーの急な退職で、荷主にも迷惑と損害をかける結果となった。

     ところが数か月後、そのAが同じ荷主の物流センターに入っている運送事業者H社のトラックに乗っているのが発見された。

     H社の社長は荷主の協力会でも業界団体でも顔見知り。引き抜きなど信じられなかった。事実を確かめるためH社に電話をかけると、最初は「Aなど採用していない」という。だが、問い詰めると引き抜きの事実が発覚。反対に「何の問題があるのか」と開き直りだした。

     荷主にも問い合わせた。するとH社の社長から「社長同士で話し合いがついてAを採用した」という話になっていたという。H社がドライバーを引き抜いて荷主に嘘をついて、同じ仕事をさせていたことがわかった。

     確かに運送業界に引き抜きをしてはいけないという法令があるわけではない。だが、同じ荷主の仕事では支障が生じる。例えば、同じ物流センターに入っている事業者同士で人材を引き抜き合いだしたら際限のない争いになる。

     同社では「もちろん会社を移るなど職業選択の自由は当然。だが同じ荷主の同じ仕事で人材を引き抜くなど、同業者としてやってはいけないこと」と話す。荷主に相談すると、協力会同士で人材の引き抜き行為を禁じることになった。もし本人のたっての希望で会社を転職したい場合、社長同士で了解を得ることを求めた。

     これでも問題は終わらなかった。H社では荷主に対して、M社が嫌がらせをしてくると報告。警察にも虚偽の届け出をして、M社がH社を威嚇していると通報した。荷主側では全てを理解し、協力会に対して同業者同士の人材引き抜きはご法度とする通知を出した。

     運送事業者の多くは中小・零細規模だ。従業員研修にも大きな負担がかかる。そうした同業者で助けあうのではなく、人材を引き抜いて他社を踏みつけにするような行為を、M社は「紳士協定破りだ」として、二度と信用しないと怒りをあらわにしている。(千葉由之)

     
     
     
     
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