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苦肉の経費削減、車両保険の解約決断 軽油価格高騰で
2011年5月18日
燃料価格の高騰で、昨年と比較して利益が大幅に減少し、「これまでのような運営は出来ない」と語る運送事業者は多い。「1リットル120円の高額な燃料を消費して、燃料費が1日の売り上げの3分の1を占めるのでは、まともな経営は困難」と嘆く運送会社もあるなか、大阪府堺市の運送会社では、車両保険の解約を決断した。
同社社長は「新車を購入しているときから、約5年間は車両保険に加入していたが、昨今の燃料価格高騰に伴い、保険料の支払い負担が重くなったことから、創業以来、初めて車両保険の解約を決断した。これにより年間2000万円の経費が削減され、社員の賃下げも行わず、これまで通りの事業運営が可能となる」と説明。一方で、「大型トラックやトレーラが事故を起こせば重大事故につながり、廃車となる恐れもある。最近ではトラックの盗難事件も多発していることから、『時代に逆行している』とも思うが、これだけ燃料価格が高騰すれば高額な車両保険の加入は困難。自社で簡単な修理を行いながら出来る限り正常な運営に努める」と話す。燃料価格の高騰で、福利厚生費がまかなえないなどの理由から社会保険の加入を減らしたり、さらには人件費を大幅に削減する事業者も存在するようだ。運送事業者の経営コンサルを行う人物は、「これまでも運送事業者は景気の低迷で厳しい経営を強いられていた。加えて燃料費の高騰で大変厳しい経営環境に陥っていることから、社会保険の未払いや人件費カットに加えて、今後は車両の任意保険の未加入なども増える可能性がある」と指摘。
さらに、「現在、民間の損保は保険料が高額で、業界団体の保険に移行するケースが増えている。それでも保険料の支払いが厳しい事業者は任意保険には加入していない。運送事業者は厳しい経営環境にあることを、世間に理解してもらうことが必要ではないか」と訴える。(佐藤弘行)
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