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電力対策で広がる「土日稼働」 物流業界への影響は?
2011年5月30日
東日本大震災によって発生した原発事故。電力供給が懸念されることから、節電対策として、自動車メーカーが揃って平日に工場を休み、土日に稼働させるという変則的な取り組みを実施することを決めた。これにより、自動車部品などを扱う物流事業者も、「土日稼働」への対応など、根本的な対策を迫られている。自動車業界では、他業界へも広がるよう呼びかけていくとしており、今後、他業界でも同様の取り組みが進む可能性もあり、物流業界も、土日稼働などへの備えが必要といえる。
自動車業界は、夏場ピーク時の節電対策として、全国の工場を土日に稼働させる代わりに、木金を休むという変則的な取り組みを正式に決め、発表した。これは震災による原発問題で、夏場の電力供給が懸念される中、比較的電力供給に余裕のある土日に工場を稼働させ、需要が活発な木金に休止することで、電力消費の平準化を図れるとしている。7月から9月の3か月間の実施を予定しているが、自動車業界では、すでに物流事業者へも、その対策を求めており、物流事業者らは、工場の土日稼働への対応に迫られている。
埼玉県で自動車部品を輸送する事業者は、すでに荷主から土日稼働への対応を求められているといい、「電力消費の平準化は仕方がない」として、「うちらの仕事はただ荷主に従うまでだ」と、土日稼働への対応を進めているという。
土日稼働といっても、輸送品目あるいは輸送する場所が変わるわけではない。単に、輸送する日が変わるだけだ。それだけに、対応は容易だといえるが、「これまで土日を休みにしてきただけに、それを土日稼働に変えることは、そう簡単ではない」と同社長は話す。
最も大きいのが人材確保の問題だ。「多少の問題は出るかもしれないが、ドライバーの理解は得られる」と、同社長は指摘するが、「アルバイトやパートの確保には不安が残る」という。
同社は、運送だけではなく、倉庫を保有しており、入出庫作業も手掛けている。そのため、そうした作業には、アルバイトやパートを活用している。土日稼働に対応するためには当然、そうしたアルバイトやパートの理解を得なければならない。
「今のままで土日稼働に対応するのは難しいだろう」と話す同社長は、「土日に対応できる新たな人材確保が不可欠だ」としている。「メーカーの工場対応から比べれば、われわれはまだ全然ましなほうだ」というが、「3か月間とはいえ、従業員の生活を一変させてしまう事案だけに、対策は決して簡単ではない」とこぼしている。
ただ、自動車業界がすでに正式決定したことで、同社では対策の準備に取り組みを始めているという。自動車業界では今後、他業界へも広げていきたい考えで、土日稼働は他業界へも波及していくことが考えられる。こうした動きは、荷主ありきの物流業界にとって、影響は必至といえる。
電力消費の高まる夏場3か月間の取り組みではある。24時間365日稼働が当たり前となっている食品業界では、影響は少ないといえるが、これまで土日を休みとしてきた業界では、従業員の生活スタイルを変えてしまうだけに、決して容易な取り組みではないといえ、物流業界でも、その影響がでてきそうで、備えが必要だといえよう。(高田直樹)
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