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    荷主に労災を隠す 取引停止恐れる運送事業者

    2011年6月2日

     
     
     

    truck5_0530.jpg コンプライアンスの問題から、荷主企業では敷地内での違反行為などに厳しい対応を示している。ところが、労働災害が発生しても荷主に報告せず、隠そうとする運送事業者が増えているという。ある大手鉄鋼メーカーでは、そういった「労災隠し」を防止するための教育の徹底が図られているようだ。



     大阪府のある運送会社は、大手鉄鋼メーカーの鋼材を輸送しているが、同社は「荷主企業から『労災隠し』をしないための教育を受けている」と語る。内容については詳しく説明されなかったものの、荷主からは「労災を発生させれば、隠さず報告するような体制を作るよう注意されている」という。

     その理由について、荷主企業の敷地内で労災を発生させると、出入り業者は荷主から取引を停止されることを恐れて報告せず、後になって労災が発覚するケースが増加していることから、「労災が発生すれば直ちに報告することを出入り業者に徹底するための教育だ」と説明。

     さらに同社によれば、「下請け業者などは、荷主企業に対して問題を起こせば出入り禁止になることを恐れている。オイルを1滴でもこぼした場合、処理しないまま出て行けば出入り禁止、労災を起こせば出入り禁止に──こういったギスギスした状態が続き、元請け・下請けにかかわらず神経質となっている」とし、「下請けは、労災を起こせば元請けに迷惑がかかると思い、元請けも、今後の取引に大きな影響を及ぼすとして、全体で労災を隠す。そして、何かの拍子に労災が発覚し大きな問題となる」と指摘する。

     「やはり出入り業者がオープンに報告できるようにするには、荷主企業の寛大な判断が必要。われわれ運送事業者も荷主とパートナーとして長く付き合っていきたいのだから」と訴える。

     また、別の鋼材輸送業者は「過去にドライバーが積み荷の鋼材に指を挟み、切断する労災を起こした。ドライバーは会社に迷惑が掛かるとして、会社に戻るまで痛みを我慢して積み込み作業に努めていたが、現場の荷主の作業員に発見されて直ちに病院に搬送した。ドライバーに『事故直後になぜケガをしたことを現場に居た担当者に報告しなかったのか』と尋ねると、荷主に発覚すると会社との取引に影響が出ると思い、痛みをこらえていたという」と話す。

     「荷主と運送事業者は、昔は何でも話せる間柄であったが、今は何か失敗すれば出入り禁止と、お互いを守り合うことがない。さらに景気の低迷で働く場所の確保など経営者と労働者との関係にも大きく影響している」と同事業者。「少しの失敗で欠点を指摘し合っていては、荷主も運送事業者も、よりよいサービスにはつながらない。失敗しても改善するという意識がもっとも重要ではないだろうか」と指摘する。(佐藤弘行)

     
     
     
     
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