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法律で罰則がなくても
2011年9月15日
ユッケによる食中毒事件を起こした会社が再開を断念しました。この事件を他山の石として運送会社に当てはめて、考えてみることは非常に有意義なことだと思います。運送会社も飲食業と同様に、「安全」は最優先すべきものです。
利益を優先するあまり安全がおろそかになり、その結果、死亡事故などを起こせば大きな責任を負うことになります。今回の事件では、当事者である社長の記者会見での発言内容が鍵になると思います。「生肉の取り扱いについて罰則があったら売らなかった」。この言葉をどのように考えるかですね。運送業界でも「安全」を維持するための様々な法規制があります。点呼の実施や健康診断・適性診断の受診、日常点検や3か月点検、ドライバーに対する安全教育指導、労働時間など。これら法令についてですら、現状ではすべて守ることはかなり難しいのではないでしょうか?
私が今回の食中毒事件で問題だと思うのは、「罰則のない指針」を守らなかったことに対する経営者の姿勢です。確かに罰則のない指針は強制力がありませんので、そのことを守れていないこと自体についての法的責任は生じません。
しかし、「食中毒」が発生し、多数の死者が発生している事実を考えると、大きな問題があるように思えます。そこには、たとえ法律で整備されていない点があっても、法律さえ守っていれば問題ないという、極めて責任感のない経営姿勢が透けて見えます。
それでは一体、どうすればいいのでしょうか?
それは運送業であろうが、飲食業であろうが法律で定められ罰則があるもの以外でも、安全性を損なうようであれば自らの責任・プライドにおいて、必要な取り組みをするということです。
例えば、ドライバーの健康診断。年1回の受診は法定ですが、それ以外に、検査で「要検査」のドライバーに再検査を受診させたり、高血圧のドライバーには点呼時に血圧計で測定したり、通院や投薬の状況を確認したりと、今より少し踏み込んだ取り組みをすること。これらは指針などで強制力のないものが多いですが、今はこれらの取り組みで経営者の安全への姿勢が評価される時代です。
「法律で罰則がなくても、必要ならば経営者の判断でやる!」。運送会社の危機管理の一つです。
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