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    海コン輸送の「今」 忘れ去られていた「2段書き」

    2011年10月17日

     
     
     

    kaikon_1017.jpg 海コン輸送で現在、話題となっている「空コン2個積みシャシー」。運賃問題に直結するだけに、事業者の反応も様々。また、鉄道による「5トンコン」なども、「普及すればトラック運送業はどうなるのか」と不安を口にする運送事業者は多い。空コンテナを積載する場合、「バラ積み」も可能になる「2段書き」も含め、海コン輸送の「今」を追った。



     コンテナシャシーで実入り時は単体物品専用車、空コンテナを積載する場合には、基準最大積載量内であれば2個積み(バラ積み)が可能という基準を利用して車両メーカーが販売したことで、関東地域を中心に、車検証に2段書きで「基準最大積載量○○トン、基準緩和最大積載量△△トン」と用途によって積載量が記載されているようだ。

     しかし、重量物を専門に輸送し、基準緩和の内容にも詳しい運送事業者や修理業者、ボディー製造会社などでも2段書きについて知らない場合が多く、結果、単体物品専用車は単体のみの輸送しかできないと思っていたようで、大阪府堺市の運送会社でも、「基準内であればバラ積みが出来るという話を聞き、当社の車両の保全や修理を行う業者に確認したところ、『知らなかった』とのことで、改めて行うことになった」と話す。同社は2段書きの存在は聞いた記憶があるものの、理解しないまま現在に至っているようだ。

     トレーラの修理業者に聞くと、「2段書きは承知していたが、昨今、単体物など特別な貨物も減少し、ほとんどがバラ積み緩和(総重量36トン以内)に切り替えていたため、すっかり忘れていた。しかし、バラ緩和や単体物緩和、基準内など仕組みが複雑で、完ぺきに理解するのは不可能に近い。複雑な2段書きなどの方法にせず、1本に規制をまとめてもらえればトラブルも減る」と、規制に問題があると指摘する。

     同基準緩和は平成14年秋以降に開始され、車両総重量および基準緩和セミトレーラは分割不可能な単体物品のみの輸送に限られてきたが、緩和項目が車両総重量などの重量規制に限られるセミトレーラは、基準内であれば分割可能な物品(バラ積み)の輸送が可能となったことを運輸局は説明する。これに伴い、車検証には例として最大積載量40トン、車両重量10トン、車両総重量50トンであれば、新規ならびに継続、更新時などに申請を行えば次のような形で掲載される。

     最大積載量18トン(40トン)▽車両重量10トン▽車両総重量28トン(50トン)

     バラ積みの時は18トンまで積載可能で、単体物品輸送時は40トンまで可能となるのだ。平成14年にすでに緩和されていたことではあるが、バラ積み緩和への関心が高く、景気動向で改めて関心が高まったようだ。

     阪神港の業界関係者は「今回、近畿で事業者が初めて導入したが、認識が低いことから話題になったようだ」と説明する。

     近畿運輸局によれば「空コンテナを2個積載しても、単体物品輸送の違反には当たらない」とのこと。同車両のメーカーからセールスを受けた事業者は、「大手など空コンテナの回送を行う事業者では利用価値はあるかもしれない」と話す。

     海コン輸送の業界団体は今後、同車両の導入を考える事業者に、「道路通行許可申請が必要で、各整備局道路管理者に申請を願いたい」「公道を走行するにあたって関連法令(道路法・道路交通法・道路運送車両法)の内容を十分確認するように」などの注意を呼び掛けている。

     一方、ここにきて鉄道(5トンコンテナ)を利用した輸送が注目を集めている。大阪市の運送会社では、荷主である倉庫業者から雑貨品の大口輸送を大阪から九州まで依頼され、トレーラとフェリーを使った輸送で出来る限りコストを抑えた見積もりを行った。

     しかし、倉庫業者から帰って来た返事は、5トンコンテナを利用した輸送が同社の見積もりより大幅にコストダウンしているとのことで、結局、仕事を獲得出来なかった。同社が価格について倉庫業者に尋ねると、同社の見積もりの約3分の2といわれ、「その価格では太刀打ちできない」と嘆く。

     同社もフェリーで荷物を積載したトレーラシャシーを無人航送することで、陸上輸送よりも大幅に価格をセーブしていたにもかかわらず、5トンコンでの運賃はそれ以下ということに、「今後、5トンコンが普及することになれば、トラック運送業はどうなるのか」と不安を口にする。

     幸い現状では急ぐ荷物についてはトラックに軍配がある。急がない貨物は鉄道を利用した5?コンが選ばれているようで、大手物流会社などでも専用コンテナを導入し、荷主ニーズに応じた輸送形態(トラック、鉄道、航空機など)を採り入れているようだ。

     運送事業者も、慌てて輸送しなくても良い荷物に関しては今後、トラックと鉄道やフェリーなどを利用した輸送方法も検討することが必要としている。(佐藤弘行)

     
     
     
     
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