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標準運賃、実現の前に ペナルティなど課題も
2011年11月9日
トラック運送業界では近年、標準運賃の導入を呼びかける声が全国的に高まっているが、札幌市の事業者からは、このような動きに否定的な意見を聞くことができる。ある事業者は「標準運賃の実現の前に考えなければならないのは、『違反した場合、ペナルティを受ける覚悟があるのだろうか』ということ」と指摘する。
仮に標準運賃が決まり、それに実効性を持たせるには、「標準運賃を下回った仕事に関わった荷主と運送業者の両方を罰する」ようにしなければ有名無実の代物となってしまうと述べる。また、「チャーター、トンキロ、時間当たりといった昔ながらの運賃単価の考え方に加え、最近では個建てやリューベ単位、センターフィーを組み込んだもの、積載率や実車率によって変動する運賃単価など様々なものがあるが、このような運賃体系ごとに設定するつもりだろうか」と疑問を投げかけ、「何トン車を何時間、チャーターして何万円」「何トンの荷物を何キロメートル運んだら何万円」といった大雑把な標準モデルを作ったところで、役に立たない時代になっていると訴えている。別の事業者は「運賃低下に一定の歯止めをかけたいということなのだろうが、うちはメーンの荷主に併せて、その他にどれだけ『細かい積み荷を引っ掛けるか』といった考えで仕事をしており、メーンの積み荷だけでも細かい積み荷だけでも、単体で考えるとほとんど利益が出ない。とりわけ『引っ掛け仕事』は完全にダンピングの領域だ。帰り荷を安い運賃で引き受けることと同じで、合わない仕事を掛け合わせることで効率を高め、利益を確保している」と説明し、「ダンピングで標準的な運賃相場を荒らしていると見られるか、企業努力と捉えてもらうかの違い。うちはGマークを取得し、社保も完全に入っているが、仮に標準運賃が決められたら、確実に『悪質業者』の部類に入ってしまう」と話している。
別の事業者は「標準運賃が出来たからといって運賃アップの交渉や手待ち時間の解消を行うことができるかと言えば、難しい」と指摘。適正な運賃やドライバーの拘束時間についての交渉や改善提案は、「しっかりした考えの経営者ならすでに取り組んでいるはずだし、どうしても意見が通らない荷主なら仕事を引き揚げるはず」とし、手待ち時間の問題は「経営者の事業に対する姿勢の問題」と話す。(玉島雅基)
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