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「違法な条件」エサに引き抜き 業者間のトラブルに
2017年7月21日
慢性的なドライバー不足に苦しむ運送業界だが、ここにきて運転者の引き抜きが目立つようになってきているという。しかも、ドライバーに違法な手段で長時間労働させる条件を提示するなど、なりふり構わぬ引き抜き方法を採る運送事業者も出てきている。ドライバーも、その「甘言」に乗る者も少なくなく、違法手段を運送事業者に迫るものまでいるという。怒り心頭の運送事業者に、ドライバーの引き抜きについて話を聞いた。
人材不足で悩むトラック運送事業者が多い中、運転者の引き抜きが横行している。事業者間のトラブルに発展しており、大阪府の運送A社も「とんでもない条件の誘いに当社のドライバーが、他社からの引き抜きを受けている」と明かす。A社によると、同社は海コン輸送を展開しており、ドライバー数人が別のトレーラ輸送を手がける会社の役員やドライバーからの引き抜きを受けているという。引き抜きの条件は驚くもので、法律に違反する内容も含まれているという。「ドライバーに対して、二倍の賃金が得られると言うが、その方法は、昼と夜連続して運行し、昼間については正規の給与で支払い、深夜に関してはアルバイトの形(いわゆる下請けに流す方法)。1人に対して二つの口座に社員と個人で仕事をした分の賃金を支払い、収入も大幅に確保できると言うものであった」という。A社社長は「自身がドライバーで働いていた20年以上前、我々も給与とは別に口座を設けて下請けの形でやっていた。現在ではマイナンバー制度が導入されて、収入は明確にわかる。寝る間を惜しんで運行することで体にも大きな影響があり、私が行っていたときも、居眠り運転で横転や追突事故で死亡した仲間がいた」と指摘する。「現在、労働時間が厳しく管理されているのは周知の事実。二重の支払いに至っては、だれが見ても違反行為と理解できる。しかし、ドライバーの一部は誘いを真に受けて、この方法を行ってくれなければ、誘われている運送会社に転職すると言う。時代の流れと共にコンプライアンスを順守して事業運営している中で、いまだに違法行為でドライバーを集める運送会社がいることは理不尽。まじめに事業を行えば損と言う気持ちになり、怒りが納まらない」と語る。A社では当然、違法行為をしてまでドライバーを留めようとは考えていない。ドライバーには既に自身の考えで転職するなら、その運送会社に転職すればいいと伝えているという。しかし、違法行為を助長するような運送会社が繁栄していくことは好ましくなく、適正に事業を営む企業の発展を願いたいとも言う。
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