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    交通事故した会社は「腐ったミカン」?荷主の暴言に怒り

    2011年4月22日

     
     
     

     過重労働が重なり事故を起こしてしまった、ある運送事業者。社長自ら荷主である元請け事業者の担当部長に謝りに出向いたところ、「腐ったミカンだ」と罵倒されたという。「こんな腐った運送会社があると他にもまん延する」というのだ。同事業者は「確かに事故を起こした責任はある。だが腐ったミカンとまで言われたくない。腐らせてしまったのはだれだと言いたい」と行き場のない思いを抱いている。法令順守できる経営環境を求める事業者の声もある。


     腐ったミカン、と聞いてドラマ「3年B組金八先生」の有名シーンを連想する方もいるだろう。人間をミカンに例え、「腐ったミカンがあると他のミカンも腐ってしまうから、箱の中に腐ったミカンを見つけたら、直ぐに捨てなければならない」という論理に対する反論がドラマでは描かれていた。荷主の若い担当者が、このドラマを知っていたのか分からないが、事故を起こした運送会社社長に「腐ったミカンのような会社は排除する」とののしったという。
     同事業者は、事故の要因に、ドライバーの過労や長時間労働もあったのではないかという。1回の輸送に6、7時間を要し、運賃は1万8000円ほどだった。ドライバーは2回目の運行に行き、トータルで15─16時間働いて1日4万円ほどの売り上げだった。諸経費や人件費を考えれば、2回運行は仕方なかった。
     巡回指導などでは労働時間の長さが指摘されたが、「荷主との契約だから」としか説明できなかった。「そんな仕事は受けるな」とも言われるが、条件が悪いからと簡単に断れない。「法令順守や安全を確保できない運賃、労働条件で仕事をやらせる方にも責任はあるのでは」という。
     そうした中で同事業者のトラックが事故を起こした。ちょうど人事異動で新しく来た元請けの若い担当者は「事故を起こす会社は腐ったミカンだ」と言い放った。「事故を起こせば切り捨てる」ということだ。
     それを聞いて「下請けで長年、どんな条件でも一生懸命に手足となって働いてきたのに、そんな言い方があるか」と「残念で情けない」思いを抱いたという。「元請けは事故が起きない体制を作る必要があるんじゃないか」と同事業者。「ドライバーは機械じゃない。使い過ぎれば疲れもする」。
     先のドラマでは、金八先生が「あちこちぶつかっていれば、どこか腐ってくる。だが私達は、ミカンを作っているのではない。人間を作っているのだ! 人間の精神が腐ることは絶対にない!」と反論する名シーンがある。教育現場とビジネスの世界では答えは違うのかも知れないが、下請け事業者も人間、トラックを動かすのも人間だ。

     
     
     
     

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