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    問題視される特殊車両 騒音・振動で沿道住民から苦情

    2013年2月14日

     
     
     

     沿道の大気・騒音問題が過去に取りざたされてきた兵庫県阪神地区で最近、市街地の北側に位置する六甲山地を越えていくトレーラ車両が問題視されている。神戸港を拠点に船出しされるコンテナを積載したトレーラが、騒音・振動を沿道住民に与えているというものだ。問題の背景には、神戸市が開発した産業団地の存在や、トレーラなど特殊車両の通行可能経路に指定したまま料金徴収を終えた道路の存在などがある。全国的にも大型特殊車両が公道を一層走りづらい状況が昨年末から醸成されつつあり、根本的な制度改定も必要な場面といえそうだ。


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     神戸市は昨年末、「大型車(特殊車両)の国道428号の通行について」と題するお願い文書を、ト協を通じて傘下会員に流した。神戸市内の山手を縦貫する428号。これに接続している市道「日の峰1号」約1kmの区間を、ショートカットする形で通過する特殊車両が増加し、周辺住民から苦情が寄せられているというものだ。
     同市によると、苦情の対象はおもにコンテナ車両。道路部管理課の職員は、「日の峰1号は特殊車両の(通行可能な)収録道路には含まれていないし、通行許可も出していない」と話す。同市が沿道の問題を把握したのは昨年になってから。しかし、同職員は「数年前から地元の警察署では把握していたと聞いている」と指摘する。また、沿道は新興住宅街に移転してきた住民が多いとの話も把握する。
     同市は同様の文書を少なくとも過去2回にわたってトレーラ業者に出してきた。最初は09年2月。同市兵庫区の山手から平地部分にかけての市道3路線で大型特殊車両が増加し、振動・騒音の苦情が生じているというものだ。3路線のうちの一つは、「西神戸有料道路」で、この道路が08年10月から無料開放されたことが交通量そのものの増加の一因であることを市も認めている。市の調査によると、無料化前では、1日の交通量が1万5000台程度(大型車1100台程度)だったが、無料化後には同2万2000台程度(同1800台程度)に跳ね上がっている。
     また、この3路線はいずれも、特殊車両の通行そのものは可能な経路に指定されている状況は無料化後も変わらない。西神戸有料道路は「神戸流通業務団地」と呼ばれる、市が過去に開発した産業団地と直結する路線でもある。つまり、この3路線を特殊車両が通行することが、法規で何らか規制されている状況にはない。
     市は、特殊車両側に義務付けられている通行許可さえあれば、なんら規制できないと話す。「通行許可の条件を全てクリアしてもらえるよう、年に2、3度検問を実施している」ことも強調する。
     過去に出した2度目の文書は、前述した3路線の経路中でトレーラが事故を起こした時(11年12月)のもの。文書には「通行許可の取得、それに基づく通行経路等の順守、並びに道路交通法上の速度制限順守等安全運転…」と記している。しかし、3路線の交通量そのものが無料化で増加していることや、トレーラの通行そのものを市が「推奨」するような産業構造になっていることには触れていない。
     あるコンテナ事業者は、「通行許可そのものを取ることがコンテナ業界の常識になっているとは言い難い」とし、市の施策はもちろん、国の新たな制度の成り行きを注視している。
     市が許可した特殊車両の通行は、11年度の1年間で3164件にとどまる。そのうち、コンテナは3分の1程度という。

     
     
     
     

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