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  • ブログ・高橋 久美子

    第110回:安いことはいいこと?

    2012年4月3日

     
     
     

     経営者の中には「安くすること」こそが、お客にとっていいことだと思っている人がいます。しかし、規模の原理がはたらかないスモールビジネスで、大手と同じような低価格の商品・サービスを提供しようとした場合、どうしても問題が起きます。


     「低価格で提供する」ということはその分「どこかを削る」ことになります。削るところは「経費」と「利益」のどちらかしかありません。どちらを削りますか?通常、スモールビジネスでは削れる利益など最初からありませんから、当然、経費を削ることになります。
     では、どの経費を削るのでしょうか?人件費ですか?いいえ、もともと人件費は最低ラインで設定しているはずです。では材料費ですか?いいえ、規模の原理がはたらかないのですから、大手より安く仕入れられるわけがありません。それでは広告費でしょうか?実は、ここを削ってしまうので、ますますお客さんを集めることができなくなります。しかし、削る以前に、そもそも今まで広告費をかけたことがないという人がほとんどです。つまり、「削れるところ」など、もともとどこにもないのです。
     それなのに削ろうとするのですから、「削ってはならないところ」を削ってしまうことになります。「削ってはならないところ」とは、それを削ってしまったら、満足なサービスが提供できなくなる危険があるところ、なのです。
     先日、数人の死者を出してしまった焼肉店のニュースが世間を騒がせました。あの経営者は、不潔でいい加減な商売をしていたために今回のような事態を引き起こしたのでしょうか。いいえ、ネットで公開された動画を見ると厨房もピカピカで、掃除も接客サービスも行き届いていました。
     しかし、この経営者は、「安い!」と喜ぶお客さんの顔を見て、「安いこと」が、お客にとって最高にいいことだと思いこんでしまったのです。もっと喜んでもらいたい。もっと安くできないかと、安さを追求していくうちに、コスト重視で肉の仕入れ先を変え、そして今回の事故を引き起こしてしまいました。
     「お客のために」と思って「安く」してきたのに、結果的には、お客に最悪の損害を与えてしまったのです。このニュースを見て、私は、運送業界のことを考えていました。
    全国中小規模運送会社・経営改善推進委員会代表 高橋久美子
    http://www.handlecover.com/kaizen/

     
     
     
     

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    高橋 久美子

    あなたの会社が儲かっていない本当の理由
    規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。

    全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会

     
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