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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(373)リーダーシップについて(7)―2
2022年4月11日
私はある債権者の依頼でA社の企業調査をした。二代目リーダーの酒池肉林ぶりがまことに印象に残った。
この二代目リーダーは、セルフコントロールの力がないと思わざるをえない。海外旅行のおみやげについていえば、高級時計を何十個も買っている。この時計は、二代目リーダーの気の向くまま、高級クラブのホステス、とりまき連中にばらまいている。権力をやりたい放題に行使しているわけだ。
バブルがはじけた今、A社は死の床に近づいている。この死の床に導いた大きな原因として二代目リーダーの存在がある。
先の二代目リーダーと違ってセルフコントロールの優れたリーダーとして、大塚製薬グループの大塚正士氏について述べてみたい。私は一時期、大学を卒業して大塚グループの一社で働いていたので、現実にこの目で見たことを中心として書く。
大塚正士氏は禁酒、禁煙、禁欲を1年ごとに繰り返される。「大企業のトップなのにわざわざそんなに自己に厳しくすることもないのになあ」と当時の私は思った。年が変わると禁煙の年はピタッと禁煙するが、次の年には机の上の灰皿が一杯になるまでのヘビースモーカーに変身する。
この印象は強く残っている。今にして思えば、そうすることで自ら律するセルフコントロールの力を鍛えておられたのであろう。
60歳からゴルフを始められたが、ゴルフウェアのままで社員の前には現われなかった。働いている社員に対するケジメであったと思われる。
当時、私は大塚グループの一社の徳島工場に勤めていたが、昼食時はうどん一杯で判で押した如く済まされていた。おそらく夕食とのバランスを考えられて、昼食はグッと質素にコントロールされていたのであろう。
そして社員に対しては、実に偉ぶるところがなかった。私の如き平社員に対しても「川﨑さん」とさん付けで呼び、しかし役員については厳しかった。当時の社長が、自分の奥さんを役員にして香港に会社を作って、その会社を活用して利益操作したことがわかると、すぐさま解任した。私は人事係であったので、その電撃的スピードにはつくづく感心した。
非情さばかりではない。この社長には、退職金が支払われた。私が計算したのでよく覚えている。大塚グループの厚生年金基金に基づいて計算した。 (つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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