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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(218) 家庭の平和づくり〈事例A〉

    2018年10月22日

     
     
     

    〈経営危機〉

     

     「いよいよ資金繰りが苦しくなりました。昨年、建設した倉庫は、借り入れ金5億円(土地取得費含む)、元金返済が始まっています。計画通りに売り上げが上がらず、苦しいの一言です。どうしたらよいでしょうか」とはA社(年商6億円、社員数40人、車両台数30台)の社長の言。

     「ほかの借り入れ金を合わせると、年商のほぼ100%分の借金ということになりますね。この1か月の経営状況はどうなっていますか? なるほど売り上げは対前年比10%ぐらいの伸び率ですが、経費のアップ率はそれ以上ですね。月々の損益はつかんでいますか?」

     「それが今期に入って経理の担当者が退職したため把握していません。直感では大赤字というところですね。倉庫を建設した1年前から、わたしの家内が半日ペースで出勤しています。家内の兄が営業部長ということで引っ越し部門、一般荷主を担当しています。家内は、その営業部門の補佐役をやっています。一般荷主の配車担当は古くからの古参社員です。この3人が今のところ中心メンバーです。管理面と資金繰りの担当がわたしです」(社長)

     「この3人の中心メンバーと社長との関係は、うまくいっていますか?」

     「さあどうですかね。うまくいっているとは言い難いですね。わたしと営業部門はミゾというか、もうひとつしっくりいっていませんね。家内の兄である営業部長は、倉庫建設に反対して、1年前にいったん辞めるということで、辞表を出したほどです。ドライバー出身者の古参社員は、わたしによく付いてきてくれています。しかし、営業部長とソリが合いません。従って、引っ越し部門と一般荷主部門との配車実務が協力関係にありながら、もうひとつしっくりいっていませんね」(社長)

     A社の経営会議に参画した。メンバーは社長と中心メンバー3人である。テーマは、「わが社の緊急課題とその対応策」

     中心メンバーが口々に指摘する問題点は、次の通りである。

     ①営業面では直接荷主が少なく下請けが多く、採算状況が悪い。引っ越し部門も採算を把握していないので売り上げは上がっても、実際にどうなっているのか分からない。人員不足のため、稼働していない車両が全体の15%もある。従って、配車担当の古参社員がやむなくハンドルを握らざるを得ない状況が続いている。

     ②人事面では、中心メンバーのそれぞれの仕事がスムーズな協力関係となっていない。社長は夜遅くまで働いているので、朝の出勤が遅い。

     ③昇給がない。そのため社員に「どうなっているのか。苦しいとは聞いているが、どうなっているのか」という不満が広がっている。

     ④社長には、もっとワンマンであってほしい。優柔不断は、ほどほどにしてほしい。     (つづく)

     
     
     
     

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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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