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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(249)人材教育

    2019年7月1日

     
     
     

     1.賞罰制度事例

     

     「今年は前年と比して交通事故件数が30%も増えている。このままいくと大変なことになる」。A社長の危機感は深い。民間の損保会社での任意保険料の割引率は、大幅にダウンすることは避けられない。経営状況は厳しさの度を深めるばかりなのに、さらに保険料のアップが襲いかかってくる。主要荷主からは経営合理化の要請がきている。「我が社は、かつてない不況に直面しています。物流合理化に取り組みます。物流合理化へ向けて積極的な物流提案を要請します」。主要荷主からの通達文の骨子である。深読みすれば運賃の割引き要請である。あるいは投入車両台数の削減要請ともとれる。「どのようにして生き延びていくか」︱︱A社長の危機感は深い。しかも交通事故件数は多発傾向にある。「何としても交通事故を減らしたい」A社長の強い思いである。

     ・A社の賞罰制度の実践事例

     交通事故を起こす者と起こさない者で、どのような差をつけているのか。A社では、これまでは無事故手当の1万円がなくなるだけである。交通事故発生1件で無事故手当が飛ぶ。事故の大小によって無事故手当が支給されない期間に差がある。最長は1か年としている。

     ①損害賠償規定

     今までは無事故手当がなくなる最長期間は1か年なので、最大12万円がペナルティ金額となる。「本人の責任度合はどうか。事故費はいくらかかっているか。これからの事故防止はどうするか」。このような点については不明な面がある。A社では、今まで社長の一存で決まるので不明なことがある。そこで損害賠償規定を作成し実施する。

     給料と損害賠償規定は別である。損害賠償規定は、本人が会社に与えた交通事故の損害についてルールを定めたものである。損害賠償金額の査定にあたって、審議機関(A社では幹部会議)を設ける。審議機関は損害賠償金額を査定して社長に答申し、社長が最終決定する仕組みである。A社では損害賠償規定の実施に伴い、無事故手当は廃止する。無事故手当にかわって表彰制度を実施する。

     A社でのドライバーの反応は次の通りである。

     「交通事故は起こしたくて起こすのではないのに、損害金額を取られるのは嫌だなあ」「今までは最高でも12万円なのに不安だ」「もし、損害金額が大きすぎて払えなくなったらどうするのか。会社を辞めるしかないなあ」︱︱総じて不安と不満が渦巻く反応である。

     これに対してA社長は説得する。「損害金額を取るのが目的ではないよ。どうしたら事故を減らせるのか。この一心だよ」「会社に損害を与えたら弁償するのは当たり前だよ。私の会社も荷主からはペナルティを課されているんだよ」。必死の説得である。損害賠償規定の施行に伴い服務規律を明確にする。事故を起こすと必ずA社長と個人面談する。事故原因を深く掘り下げて事故防止策を確認する。その上で始末書を提出する。A社では、1年間に3回の事故を本人の責任によって起こすと退職勧告する。2回目では後がないことをじっくりと確認し、3回目で退職勧告する。「事故多発者はプロドライバーとしての適性がありません。他の職業で活路を見いだしてほしい」。かつ3年間で4回の交通事故を起こすと同様に退職勧告することとしている。 (つづく)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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