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ブログ・野口 誠一
第387回:労使闘争に勝利も・・・
2012年11月19日
(指名解雇をめぐってAさんと労組の対立は頂点に達した)
──労組の上部団体に「会社をぶっ潰してやる」と言われては、さすがに私もハラをくくらざるを得ませんでした。私は即座に「潰してくれて結構だ。どうせ今のままなら来年中に潰れることは明らかだ。今潰れるのも来年潰れるのも大差ない。好きにしてくれ」と突き放しました。これには労組側も驚いたようで、やがて「指名解雇の人数は組合側が責任をもってそろえる」と折れてきました。
こうして昭和63年8月、18人の希望退職に成功し、4か月にわたった労使対決にも決着がつき、私はかろうじて倒産を免れました。このリストラによって財務内容が徐々に改善され、経営も安定軌道に乗っていきます。そして平成改元の頃から、財務内容にいよいよ厚みが増したところで、私は「労組解散」に自信を深めました。昭和52年の労組結成以来12年間、私は団体交渉のテーブルに着いてきましたが、ついにそれを拒否する日が来たのです。
もう大丈夫、今なら負けない…その自信のもとに、私は団体交渉を拒否しました。もちろん、それで労組がおさまるはずもありません。そこからまた新たな対立が始まりましたが、経営が順調ということもあって、私は一歩も引きませんでした。
そんな応酬が2、3年続いた平成4年5月、ついに私は勝利を手にしました。最後の委員長が「解散」の届け出を提出したのです。ここに15年闘争は私の勝利のもとに終わりました。が、これは苦い勝利でした。中小企業にとって経営者と社員はいわば身内です。身内同士の争いほど辛いことはありません。
私は、また労組が結成されるものなら廃業も辞さない覚悟です。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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