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ブログ・高橋 聡
第287回:令和時代の運送業経営 残業時間削減編(84)
2025年4月24日
【残業時間削減編】84
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号から「残業時間削減編」として時間外上限規制(2024年問題)への対応について解説してまいります。(その1)
1.残業時間とは
2024年4月から36協定に連動する形で時間外上限規制がスタートしています。運送業の運転職は年間960時間以内に残業時間数を抑えていく必要があります。時間外労働時間は日毎に「拘束時間―休憩(分割休息)時間―法定労働時間」で求めます。2.労働時間把握の方法
労働時間は「拘束時間―休憩(分割休息)時間」で求められるため、まず行わなければならないこととしては「拘束時間の把握」になります。「拘束時間」は出庫AC(アルコールチェック時刻)~帰庫AC時刻で把握します。デジタコはエンジンON時刻のためAC時刻を始業時刻としたほうがいいでしょう。
AC機器とデジタコの連携・連動が必要となります。なお、運送法で運行前点検をAC前に実施する必要があるため、厳密には「運行前点検」が始業時刻となります。終業は帰庫点呼(帰庫AC時刻)となります。
長距離運行の場合は出庫AC、中間点呼・AC、帰庫ACにより「拘束時間」を把握し「休憩(分割休息)時間」「休息期間」を除外・差し引きし「労働時間」を把握することとなります。
「拘束時間」から除外できるのは「休憩(分割休息)時間」であり、「待機時間」「手待時間」「延滞時間」「荷積・荷下時間」などはすべて労働時間になります。
「休憩時間」か「手待時間」「待機時間」などの労働時間であるかの区分がよく問題になります。
区分の判断は「実態」によります。一般的に「荷積・荷下」時間が指定されている場合、指定時刻までの時間は「休憩時間」になり、指定時刻が不明などの場合は「手待時間」「待機時間」になり「労働時間」になります。
デジタコでの「ボタン操作」や「日報の時間数確認」によりドライバー本人が時間区分を確認する仕組みが重要です。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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