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ブログ・高橋 聡
第289回:令和時代の運送業経営 残業時間削減編(86)
2025年5月22日
【残業時間対策編】86
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号から「残業時間対策編」として時間外上限規制(2024年問題)への対応について解説してまいります。(その3)
1.拘束時間削減の方法
「労働時間」は「拘束時間―休憩(分割休息)時間」で求められます。このため労働時間数・残業時間数を削減するためにはまず「拘束時間数」の削減に取り組むこととなります。拘束時間は2024年4月から月284時間(協定締結により年6回まで月310時間延長可)となっています。
「拘束時間管理」のためにはまず「出庫時間管理」つまり出庫をドライバー任せにしないことが必要です。残念ながら基本的なところができていない事業者が多いのが実情です。
軽貨物は請負契約・個人事業主による運送が可能ですが、営業用貨物(緑ナンバー)は「雇用契約」締結が前提であり事業主はドライバーに「指揮命令」する権限を有します。
実態としてはドライバー不足の現状のため個人事業主的な意識を持つ方が多く管理に苦労している事業者が多い実情ですが、時間外規制などに抵触した場合や「事故」「労災」などが発生した場合の責任はすべて「事業者」にかかることとなるため、その意味でも管理が必要です。
大半の事業者のドライバーの高齢化が進み、首都圏では50歳代後半~60歳代前半であれば「若手」と言われる会社も増えています。
高齢になるとこれまでのやり方を「変える」ことへの抵抗感が強くなります。「今まで通り気ままにやりたい」という気持ちを持つドライバーは少なくありませんが、前記の通り責任は事業者が負うこととなるためやはり管理が必要です。
また、「待機・手待ち時間」の削減に取り組む必要があります。多重下請け構造の是正も今後進んでいくこととされています。時間はかかりますが荷主への時短に関する取組折衝、交渉は必要です。この問題には国交省も重点対策として取り組んでいますのでGメンの活用なども含め24年問題を契機として取り組む必要があります。
2.取組事例
弊社のお客様において、「拘束時間数」を2023年に対し20%以上削減した事例があります。実施したことは「出庫時間指示」や「荷主折衝」などを地道に取り組んだものです。まずは経営者が意識を変え、所長・幹部とともにドライバーの意識改革に取り組むことが必要です。関連記事
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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