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    増え続ける「自殺者」 運輸従事者で500人

    2010年11月25日

     
     
     

     厚労省の「死亡災害報告」によると、平成21年度の死亡災害発生状況は陸上貨物運送事業で122人。交通運輸業の12人を足しても134人だ。しかし、警察庁による職業別自殺者数によると、21年度の運輸従事者の自殺者数は500人にのぼる。
     滋賀ト協では先月から「職場のメンタルヘルスケア&マネジメント研修」を実施するなど、自殺を企業の問題としてとらえる動きが出てきている。メンタルケアの現状を聞いた。
     「さまざまな企業から相談を受けているが、今のところ運送業からの相談は少ない」と話すのは、京都産業保健推進センターの岡嶋静副所長。同センターはメンタルヘルス対策支援センター事業にも取り組んでおり、職場におけるメンタルヘルス対策の推進を進めている。


     「企業全体としては、経営者の意識が変わってきている。以前なら、『辞めてもらうしかない』といったケースが目立っていたが、最近では従業員の『エース級』の人材がメンタルケアを必要とするケースが多いことを認識し、企業としても損失になると考えて積極的な動きが出てきている」という。
     「ほとんどの中小企業が直面する問題が、『何をすればいいのか分からない』という状況に陥っている。教育研修や企業内外の窓口設置など、各地域のセンターに相談してほしい」と訴える。「まず大切なのが、トップの決意表明。これをしないことには、組織の人間が動けない。企業には安全配慮義務もあり、労使間のトラブルを防ぐためにも、積極的な対応をお願いしたい」と訴える。
     「従業員の自殺を止めるには上司はもちろん、同僚の助けが重要になる」と訴える京都労災職業病対策連絡会議の芝井公事務局長。「自殺を考えている人はシグナルを出している。それをいかにキャッチ出来るかが大切」という。
     「遺族の相談を受けていると、『もう少し早く気がついていれば…』という声が多く。家族が気づかなければ、会社組織で気をつけることも大切。上司や仲間が、『どこかにつなげる』ことが重要になる。医療機関やカウンセリングを紹介するなど、被害者を一人にしないこと」と指摘する。
     また、「最近になって、企業の指導方法にズレが出てきているのではないか」とも。「昔ながらの『根性論』が消えたということ。昔からの厳しい教育ではない、マニュアル化された教育を受けた従業員がほとんどになり、そんな人材が会社で根性論的な教育を受け止められなくなっているのではないだろうか」という。
     「叱咤激励と受け止めるか、パワハラと感じるかは人それぞれ。だからこそ、この問題は難しい」という。運送会社として「社員教育」を実施する会社は多いが、「社員の心のケア」を考えている会社は少ない。社員教育が万全に発揮できるようケアしていくことも重要だ。
     芝井事務局長は「会社の問題などでは上司や同僚に相談できないことも多い。社外の窓口を作ることも考えて欲しい」と話す。
     厚労省によると、心の健康対策に取り組んでいる企業は平成14年度で23.5%。同19年度で33.6%となっている。取り組まない理由としては「専門スタッフがいない」が44.3%、「取り組み方がわからない」が42.2%、「必要性を感じない」が28.9%となっている。
     また、過去1年間にメンタルヘルス上の理由により休業・退社した労働者がいる事業所は全体で7.6%。従業員・ドライバーの中に「サイン」を出している人間はいないか、調査の必要性が高まっている。

     
     
     
     

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