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    弘和通商 「アジア向けに北海道産米を」新会社設立

    2011年6月7日

     
     
     

     食品物流を手掛ける弘和通商(長谷川朋弘氏社長、札幌市東区)は異業種と連携し、米を中心とした道産食材をアジアに向けて輸出・販売する会社を3月に立ち上げた。「北海道の農業と食品産業の振興、道産食品のブランドイメージの向上に貢献したい」としており、将来的には道内の物流インフラを活用し、道産食材を扱う「オール北海道」の代表的商社をめざす考えだ。


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     社名は、KPUインターナショナル。眼鏡販売のムラタ(札幌市厚別区)、コンクリート製品製造の上田商会(登別市)と共同で出資、資本金800万円で3月15日に設立した。長谷川社長がKPUの代表を務め、本社も弘和通商の敷地内に置いた。
     同月末には第一弾として道産米の「ななつぼし」15t、「ふっくりんこ」1.5tに加え、ミネラルウォーター200Lを香港に向けて輸出した。6─7月をめどに次の便を送る予定で、年内にはシンガポールに販路を広げる。初年度3000万円、来年度1億円の売り上げを目指している。
     設立のきっかけは、長谷川社長が主宰する異業種交流会を通じ、香港で日本米の精米・販売を手掛けるワッカ・インターナショナルの出口友洋社長と知り合ったこと。ひと回り若い世代が海外で起業していることに刺激を受けた。「格好いいと驚いた。将来的に道産米を扱いたいと話しており、彼に北海道の米を供給するのは自分たちでいいのではないかと考えた。それまで食品販売では海外への事業展開も考えたことがなかったが、彼の力になることが道産米と生産者のためになると確信した」と振り返る。
     KPUが輸出した米はワッカが買い取り、現地の日本食レストランなどへ流通させている。今後は一般消費者向けの販売促進や、加工品などアイテム数の拡充も図っていく。「産地や生産者を限定し、『ゆめぴりか』『おぼろづき』といった高級米も扱っていきたい」としている。物流面は弘和通商が請け負う。「最高の生産者が作った最高の商品を1円の価値も落とすことなく、むしろ私たちが運ぶことで価値が上がるようにしたい」と意気込む。
     現在は東日本大震災に伴う福島第一原発事故の影響で、日本の農産品の安全性のイメージが低下し、輸出や海外での販売が滞っている時期。長谷川社長は「元来、日本の食材は安心・安全との認知度が高かったが、原発事故により、かなり消費が落ちている」と認識。時期が来ると消費は回復すると見ているが、「日本の食品の安全性をそれぞれの立場でアピールする必要がある」と考え、震災後、事業のスピードをあげた。
     KPUの事業には、北海道経済に対する貢献の意味合いも強い。「食料自給率200%の北海道では、農業が盛り上がらないと景気が上向かない」と同社長。「日本の農家の知識、技術、労を厭わず、作物一本一本を大切にする姿勢は世界一。効率や値段だけの勝負ではなく、『安心、安全、高品質』といった日本の工業製品と同様のブランド化が農業でも可能」と考えており、「国内にしか目を向けていないのがもったいない」。
     しかし、道内では海外へのチャネルを持つ地元商社が少ないのが現状。道内の空港、港湾を活用した輸出自体も限られている。
     KPUは北海道のインフラを使い、付加価値の高い道産品を直接輸出するビジネスを行う。「海外へ出て行きたいが、ハードルが高いと考えている生産者の架け橋になる」ことで、北海道の農業、経済の振興に寄与したいと考えている。同社長はKPUだけではなく、「地場でこのような会社がもっと増えるべき。道内からもっと輸出しやすくなれば、北海道の経済が活性化する」と主張している。

     
     
     
     

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