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    後継者に悩むオーナー企業、独自の経営目指す二代目も

    2011年6月20日

     
     
     

     運送業界は中小・零細企業を中心にオーナー企業(代表者と筆頭株主が同じ企業)が多く、代替わりの際は息子や娘婿など親族を後継者とし、スムーズに事業承継できる傾向にあった。しかし今後、確実に縮小する市場で問われるのは、血縁よりも経営手腕である。     
     帝国データバンク札幌支店の調査によると、北海道内のオーナー企業の割合は30.7%、このうち74.2%で後継者が決まっていない。トラック運送業界は、これよりもオーナー企業の割合や後継者が確保できている比率とも高いといえる。ただ、これからの経営者は人口減少社会という、先代とは全く異なる環境の中での事業運営を余儀なくされる。オーナー企業の事業承継について、道内事業者の声を聞いてみた。


     札幌市近郊の二代目社長は、「創業者の子息だからといって、必ずしも経営能力に長けている訳ではない。今後、経済は間違いなく縮んでいくので、社長の息子・娘婿だからといって漫然と後を継ぐと、本人も従業員も不幸なことになりかねない」と指摘。自身は異業種との勉強会に積極的に参加し、業界内での付き合いをほとんど重視していない。「これからはオーナー一家が株を所有し、力のある経営者に事業を任せるケースが増えてくるはず」と見ている。
     「息子は継がない」という岩見沢市のオーナー経営者。「後継者として幹部数人を育てているが、体調や人望の面で安心できないのが現状。事業承継はどこかの会社に買ってもらうのが現実的かもしれない。会社は売れる内容だと思う」とM&Aを模索している。
     千歳市の創業社長は、「自分が経営から退く時、会社は閉めるつもり。幹部は与えられた仕事は工夫しながら一生懸命こなしているが、経営全般の才覚はない。たとえ任せても間違いなくうまくいかない」と話す。「これまで十分稼ぎ、借金もないので、資産を持ってきれいにやめられる」と、会社の存続を望んでおらず、リタイアを視野に入れている。
     札幌市近郊の二代目社長は、「父親は超ワンマンだったが、自分にはそこまでの力がない」と率直に語る。「社長に就いてからは自分の色は全く出さず、先代の方針を少しもいじっていない。今後も変えるつもりはない」と話しているが、周りからは「先代のにらみが効かなくなれば、仕事も従業員も離れていくのではないか」と心配する声が聞かれる。
     札幌市の二代目社長は、会社を継いだ直後、信頼する同業社長から「社員も客も親父についてきた。お前には力がないが、力を付けてから変えていけばいい」と助言を受けた。5年間、先代の方針を何も変えず受け継いだ結果、「言われたことが何となくわかった」と話す。「自分の力が見えてきた。従業員も顧客への対応も少しずつコントロールできるようになり、力がついたことがわかる。これからは、自分の能力に沿った形で、新しい事業にチャレンジしていきたい」として、小口の物流市場の開拓に目を向けている。
     運送会社の代替わりについて、札幌市の税理士は「高度成長が終わって人口が減り、運送需要が減ってくる時代。6万社を超える事業者数は間違いなく過剰。企業存続のためには、中小企業であっても経営者の手腕が第一に問われる。オーナー一族が会社を継ぐことで、取引先や金融機関が安心する面は否めないが、今後は上場企業のように株式の所有と事業の執行を別にし、経営をプロに任せる流れが出てくるのではないか。やる気だけではなく、能力がある経営者だけが生き残っていくことになる」と語る。

     
     
     
     
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