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    「ボランティア」に疑問 輸送の「軽視」は問題

    2011年8月1日

     
     
     

     先月、大阪府の運送会社に一本の電話が入った。
    「ボランティアで自転車を岩手県の陸前高田まで運んでくれないか」。
    東北の被災地でボランティア活動を行っているカナダ人英語教師からの依頼だった。「被災地の子どものためなら」と運送会社の代表は引き受けたが、実際にトラックを走らせた専務は「そもそも輸送にボランティアなどあり得ない。そんな気持ちで100台もの自転車を大型トラックで1000km離れた場所まで運べない。日本全体が『輸送』に関して『軽視』している現れではないか」と憤る。


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     東北の被災地へのボランティア活動を著名アルピニストと行っているメンバーの一人、兵庫県篠山市在住のカナダ人英語教師、ラングフォード・マイケルさんが被災地を訪れ、被災者に必要としているものを尋ねたところ、「自転車があれば、移動時間も短縮し、行動範囲も広がる」との声を把握。子どもたちからも「自転車に乗りたい」との声を聞いたことからマイケルさんは篠山市に戻り、市民の協力を得て、自転車を100台集めた。
     しかし、どのように陸前高田の子ども達の元へ届けるのか、で壁に当たってしまう。知人を介して大阪の運送会社三愛(大阪府門真市)が依頼を受けた。
     2人体制で大型トラックに乗務することになったが、うち一人が辰巳寛一専務。6月21日の出発当日、「頑張れ!東北の子供たち!自転車プロジェクト支援輸送」の垂れ幕を張り付けたトラックは、自転車の積込地である篠山市の備蓄倉庫に午前10時に到着、篠山市職員の協力を得て積み込みを開始。大人用の自転車の上にコンパネを敷き、子供用自転車を積み込んだ。
     昼12時に篠山市を出発。北陸道で福島県に入り、東北道で岩手県まで走行。翌22日午前10時、目的地である対策本部の陸前高田市学校給食センターに到着。自転車は無事に下ろされた。
     トラックは昼12時半に対策本部を出発し、岩手県花巻市で関西方面の荷物を積み上げ、そのまま東北道に乗って帰路につき、23日午前5時半に大阪に到着した。
     今回の運行で辰巳専務は10年ぶりにトラックの運転を経験。通常通り午前8時に出勤したが、報告書をまとめているとパソコンの前で居眠りをしかけた。
     「ほとんどのドライバーがワンマンで目的地まで時間通りに運んでおり、これは大変なこと。睡眠不足の状態で走り続けているドライバーも少なくないだろう。私たちは机の上で居眠りをしても周りにさほど迷惑がかからないが、トラックは一般人を巻き添えにする重大事故につながる危険性と常に隣り合わせ」。今回の体験を踏まえて話す。
     また、「篠山市の皆さんが、今回自転車を集めたことに対しては心から敬意を表したい。しかし、マイケルさんにも忠言させてもらったが、『自転車を陸前高田まで輸送するのに、1台2000円必要です。自転車1台に2000円を添えてお持ち下さい』と案内をすべきではなかったか。それが本来の自転車プロジェクトのボランティア活動ではなかったか」と訴える。
     続けて、「今回の運送で達成感はない。いいことを行ったでは片付けられない。相手側に荷物が届いてこそ初めてボランティア活動で、意味を履き違えている。そもそもボランティア輸送などあり得ない。輸送とは、そんな『美談』で語ることはできず、日本全体が『輸送』に関して『軽視』している」とも話す。

     
     
     
     
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