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    たどりついた物流のかたち 東レの挑戦(上)

    2015年1月27日

     
     
     

     燃料価格の高騰に加えてドライバー不足。物流業界の課題を挙げれば尽きることはない。こうした環境の変化を好機と捉え、立ち向かった東レ(日覺昭廣社長、東京都中央区)は、「物流」のみならず「営業」「生産」「取引先」まで、同社の物流に関わる全ての人との連携の強化を行い、固定観念から脱却し、新しい視点の導入を進め、一つの物流のかたちにたどり着いた。今回は2回にわたって東レの物流をひも解きたい。
    (上)では、東レの物流改革の全体像を、(下)では具体的な取り組みについて掘り下げていく。
     繊維、プラスチック・ケミカル事業をメーンとする東レ。物流設計に求められる梱包仕様はさまざまで、繊維はカートンケースだけでなく、ベール梱包やロール状のもの、フィルムを覆っただけの裸梱包などがある。樹脂はフレコンや紙袋、フィルムは折りたたみ式の鉄架台。そのほかスチロール梱包、ファイバードラムを使うこともある。澤野幸男物流部長は「製品荷姿・出荷ロットは多岐にわたり、物流設計も多様化している」という。


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     東レ物流部は、本社スタッフ部署の「購買・物流部門」に属する。20年前、東レには物流子会社があったが、「競争力を最大限に引き出すためには、本社の製造・営業を巻き込んでの物流構築が必要」として、現在の会社全体を俯瞰(ふかん)できる組織体制へと変貌を遂げた。東レ物流部はグループ全体の物流を横ぐしをさすようなかたちで存在する。3部署20人体制で、東レ製品の国内物流・工場倉庫の構内物流管理などを行い、グループ内の各社物流部と連携しながらグループシナジーを高めている。
     東レは、物流センターなど自社設備を持たず、保管・輸送は物流会社へ委託。企画・立案業務は自社で運営し、受注と出荷指示は営業部が行っている。社外の物流パートナーとは、「物流部基本方針説明会」などを開催することで、年間活動方針を共有し、意見交換の場としてきた。
     物流を取り巻く環境はめまぐるしく変わった。物流部として、運送事業者や輸送モードの見直しなどさまざまな改善を講じてきたものの、燃料代上昇などによる運送費の圧迫で単純値下げが難しくなったことや、ドライバー・車両不足、運行管理の徹底、さらに排ガス規制強化・改正省エネ法の施行で、物流全体でのCO2削減が求められるようになり、物流部単独でできる物流最適化に限界が生じる。そこで「物流のみならず、営業・生産、そして取引先までが連携した新たな視点での物流改革が必要だという機運が高まっていった」と澤野物流部長は説明する。
     2006年、物流部員から改革提案を募り、絞り込んだ60のテーマについて、関係する部署を巻き込みながら様々な物流費削減活動を推進した。このとき、物流課題が「見える化」され、改革のベースとなったことから、今も年に一度テーマを見直し、関係者と連携した活動を続けている。人材のローテーションを活性化させ、営業部・関係会社・海外経験者のほか外国人採用・経験者採用などを利用することで新しい視点を採り入れた。
     そして「既成概念」「固定観念」から脱却すべく、今までのやり方に疑問を投げかけた。梱包・資材は東レ特殊仕様から積みやすさ・運びやすさを考えた業界標準へ。輸出入港は、東京・大阪の主要港主体から地方港を利用することでコストを軽減。既存取引先との関係維持と同時に、競争力のある新規取引先の開拓を進めた。また、納入時間指定や朝一番の納入、毎週、少量配送していた顧客との大括り輸送の交渉など川上から川下までの輸送・保管条件について再検証を行った。
     取り組みの結果、売上高が2010年の5198億円から2014年(予測値)6023億円と順調に推移する中で、売上高に占める運輸費の割合は、2010年1.66%、2014年(予測値)では1.51%と、売上高拡大期に及んでも一定水準を保っている。また、地方港・モーダルシフトの利用で、東レ単体のCO2排出量(売り上げベース)は、2006年度の7.76を基準に、13年度は5.31と32%減少。今年度は前年度比2%減となる見通しで、CO2削減にも効果を発揮している。
     このように、一連の物流改革が〝荷主による荷主のための物流〟とならなかったのは、関係各者を巻き込みながら最も効果的な方法を模索し続けてきた結果と言えるだろう。そして現場重視の環境づくりの推進が、物流全体の最適化につながることを同社は示している。それでは、具体的にどのような取り組みを行ってきたのか、その過程を次回、明らかにしたい。
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    ◎関連リンク→ 東レ株式会社

     
     
     
     
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