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    後を絶たない重大事故 「荷主にも追及を」

    2016年10月21日

     
     
     

     「事業用トラックによる重大事故が続く原因が、どこにあるのかを真剣に考えないと、まだまだ被害者が出る恐れがある」――。
     表現にこそ少しの違いはあっても、トラック運送の経営者の多くが、ドライバーの労働時間に関する現行の規制を疑問視している。「ルールを作る人、それを監視する立場の人に、現場がどんな状況になっているのかを体験してもらうことが必要だ」と声を荒らげる運送会社社長(58歳)は、改善基準告示などコンプライアンスの徹底に取り組みつつも「行政処分を避けるため、現状をそのまま関係書類に残せない」というジレンマに陥っている。
     ドライバーの給料は現在も「走った分だけ」という色合いが濃いが、国内の賃金計算は時間がベース。そうなると、労働時間を削る実運送事業者の取り組みはトラックの走行距離を縮め、結果としてドライバーの収入を目減りさせることになる。リミッターが義務化された大型車の場合、1日の運転時間の限度(2日間の平均で9時間以内)を踏まえれば素人でも簡単に最長の運行距離が計算できる。
     「改善基準告示を守ることは大切だが、それが本当の安全につながっているのかという視点で、実運送の声にも耳を傾けながら再検証してもらいたい」という意見が現場に渦巻く。事故や渋滞、車両トラブルなどで予定の時間に狂いが生じることも珍しくない事業だけに、経営者や管理者に現状を聞いてみると拘束時間、さらに連続運転時間の規制について「実態とのズレが特に大きいと感じる」との反応が目立つ。


     十数年前に起業した食品輸送の社長(50歳代後半)は「メシを食えば眠くなる。休憩のためにトラックを止めても、しばらくは神経が高ぶっている。4時間で30分以上の休憩を取るというルールを守るためにトラックを止めたドライバーの立場でいえば、30分に近づくころにウトウト…という状態」と、ハンドルを握っていた当時の経験を話す。そのうえで「仮にヤバイ…とドライバーが眠気を感じても、厳しい到着時間の指定を考え、出発しなければならないなら問題は深刻だ」と打ち明ける。
     「解決できない労働時間の悩みを行政窓口で相談したことがある」という年金世代の経営者は、「4時間で30分が無理なら、2時間で15分でも構わないといわれた。それ以前に、もっと余裕を持った運行計画を組むように指導する担当官もいたが、現場を知らない役人としては仕方がない対応だろうし、我々の主張との歩み寄りはない」と主張。同社では現在も「運転のペースには個人差があり、宵積みが完了した時点で出発したがるドライバーを止めることはしない。ただ、早出の分が未払い問題で一律に扱われる時代なのが悩ましい」とこぼす。
     交通運輸産業の重大事故が続くなかで安全管理への監視が強まるのは当然だが、トラック運送の分野は経営基盤が脆弱な小規模・零細事業者がひしめく。ある陸運担当官は「貨物運送は請け負いの仕事。裏を返せば一人親方の業務請負(個人トラック)が不可能なのも最低5台という台数規制があるため」と説明するが、荷主に対して明らかに弱い立場の実運送事業者に請負者としての主体性があるのかは疑問だ。
     「行政処分を厳格に運用することで悪質なトラック事業者が減るのは確かだろうが、それで重大事故も減るかといえば、わからない」と話すのは、建設資材を扱う40歳代後半の社長。最前線にいるドライバーも含め、実運送の関係者の多くが口をそろえるのは「事故を起こしたトラックの荷主になぜ、そんな無理な運行を求めたのかという点を追及することが一つ。それと同時に、トラック運送が請負事業の定義に沿って商売ができているかをチェックすることも大切」という訴えだ。

     
     
     
     
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