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    罰則付き 時間外労働の上限設定「月平均60時間、年720時間」

    2017年3月10日

     
     
     

     昨年、世間を大きく揺るがせた電通社員の過労死問題。これを受け昨年12月26日、政府は「過労死等ゼロ」緊急対策を取りまとめ、企業に対する長時間労働の是正指導の強化を進めている。現在検討されている時間外労働を「月平均60時間、年720時間」を上限とする政府案は、原則として全業種に適用される見込みだ。事業の特性から、労基法に定められた「1日8時間」「1週間40時間」の労働時間を超えた残業が認められる「36協定」の例外措置を受けてきた運送業にとって、ドライバー確保に苦戦する中、生産性向上が進まないままに法改正となれば、これまで以上の負担となることは必至だ。
     政府案では、残業時間の上限を原則「月45時間、年360時間」と規定。繁忙期に柔軟に対応できるよう、1年のうち6か月までは例外を設け、「月100時間」「2か月平均で80時間」まで残業を認める方針だ。その場合でも「月平均60時間、年720時間」以内に抑えるよう義務付け、36協定があっても違反に対しては罰則を科すとしている。
     現状、残業時間は「月45時間、年360時間以内にすることが望ましい」としているが、労使間で「特別条項」を付ければ、年6か月までは青天井にできる。長時間の残業を設定しても罰則がないため、長時間労働や過労死を生む原因と指摘されていた。


     政府が上限の参考としているのは、過労死の認定基準だ。現在の過労死の原因の多くを占める脳・心臓疾患が発症する「1か月間に100時間超、または2か月から6か月間に月80時間超」の時間外労働があった場合に、疾患との関係性が強まるとしており、おおむねこのラインを参考にしている。
     平成27年度の貨物自動車運送事業に占める脳・心臓疾患の請求件数は133件、支給決定件数は82件で、いずれも全業種のうち1位だった。精神障害の請求件数は69件(3位)、支給決定件数は36件(1位)となっている。
     厚労省は、平成22年1月から平成27年3月に認定された、脳・心臓疾患1564件、精神障害2000件をデータベース化し検証を行っている。平成28年度からは労災が多発している業種の詳細な解析を進めており、「運輸業については重点業種として取り組んでいる」(厚労省関係者)としている。
     1日に首相官邸で開かれた「働き方改革実現会議(議長=安倍晋三内閣総理大臣)」の第6回会合では、時間外労働の上限設定は、労働者保護の観点から必要であるとの意見で一致したものの、 適用例外については、「過労死認定ラインとの間の距離感を明確なものとすることが必要で、1か月100時間などは到底ありえない」とする労働者側と、緊急事態や繁忙期、また業種により一律の規制が困難なケースも考えられるとして「事業の継続性に支障をきたさないような配慮」を求める経済界で意見が二分している。
     中には、長時間労働是正には生産性の向上が必要だとの意見も挙がっている。ただ、物流業として見てみると、現在の「小ロット・多頻度」の流通形態のあり方そのものを見直さなければ、より一層現場に無理が生じる懸念がある。物流連(工藤泰三会長)の村上敏夫事務局長は「物流は1業種だけではなく、さまざまな関係者が連携して成り立つ。SCMを滞りなく完結させるには、どうしても深夜作業をしなければならないケースも出てくる。産業側の商慣習を変え、ジャストインタイムではなく在庫を持つようにするとか、納期を柔軟に設定するとか、宅配便の再配達問題を見るように、個人の生活スタイルを変えないかぎり、100時間内に収めることは難しい」との私見で、「時間で規制するのではなく、働き方の多様化を考えていくほうが現実的」と見ている。

     
     
     
     
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