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    ドライバーが副業したら 運送会社はどうすれば?

    2018年1月12日

     
     
     

    意外に思えるかもしれないが、行政の内部には「長時間労働と労災事故に、それほどの因果関係があるとは考えていない」(厚労省の地方関係者)という認識があるらしい。そのせいか近年、企業に時短の促進を求める一方で、従来の「原則禁止」から「原則容認」へと厚労省のモデル就業規則を変更するなど、国の「働き方改革」の一つとして正社員の副業や兼業が後押しされる流れにある。ただ、長時間の拘束を強いられるドライバー職の場合は難しい面があるのも確かで、ギリギリでしかない休息期間を削ってのアルバイトは本来の運転業務に影響する可能性もある。こうした現状に、運送会社はどう対応すべきなのだろうか。

     

    トラック運送業界でも時短への取り組みが急務となっているが、請負仕事であることもあって実運送業務の1日当たりの時間を一気に縮めることは簡単ではない。ドライバーごとの月間の運行回数を減らすほか、中・長距離輸送と域内配送を組み合わせるといった工夫を凝らしながらの運行管理が目立つ。
    ただ、そうした現状はトラック1台当たりの運賃収入を目減りさせかねない。運行回数を落とさないためにはドライバーの増員が必要だが、トラック業界への求職者は少ない。結果として時短で収入が減ることになれば複数の仕事でマイナスを補おうと考えて当然だが、そうなるとドライバーの労働時間はさらに長くなってしまう。


    「ドライバーが退社した後、プライベートで何をやっているかまで会社が管理できない。国が副業を勧める時代になったわけだから、それは本人の責任でやるべきことではないか」「本来はドライバーの仕事だけで十分な収入が得られるようにすべき。何事もなければいいが、大きな事故でも起こせば絶対に会社は責任を問われるだろう」といった声がトラック関係者からは多く聞かれる。

     

    脳梗塞や心筋梗塞などの重大な脳・心疾患に起因する過労死と判断されるラインは「発症前の1か月間に100時間または、同2か月から6か月にわたって1か月当たり80時間を超える時間外労働が認められる場合」。トラックドライバーの場合は本来の業務で同ラインに達しているケースも多く、見方によって副業は明らかなオーバーワークとも受け取れる。

     

    昼間は市内配送で、夜間に代行ドライバーをこなす例など時短によって今後、さらに副業するドライバーが増える可能性もあるが、そうしたケースに備えて運送会社は今後、どういう対応で臨めばいいのだろうか。労働行政に詳しい関係者は「まずは雇用契約がどうなっているか。就業規則に副業禁止が明記され、だれもが見られる場所に置かれているかという点が基本」としつつも、「ただ、それは何もなければ…の話。仮に重大事故が起きた場合などは『実態』がどうかという問題になる」と説明する。

     

    要は、副業していたドライバーが事故を起こした場合、その現状を会社が見抜けなかったかという視点で黙認・容認を争点に民事訴訟に至る場合があるという。自社が支払っている給料以上の住民税額から、ドライバーが副業している可能性を感じ取ることは不可能ではないという話もあるが、「それより重要なのは、たとえ副業禁止を明記している場合であっても、36協定の内容も含めて時間が守られていたかどうか。運転業務の場合は日常点呼も義務化されており、そこでドライバーの疲労度がつかめなかったのか…という部分もポイントになる」と前出の事情通。

    ドライバーの副業先もトラック運送会社であった場合は、その時点で改善基準告示に違反する可能性が高い。労働行政の判断は「副業が残業の扱い」となるため、アルバイトで雇った側の運送会社が法違反の責任を問われることになるが、長時間労働が続くなか、ドライバーが本来の勤務先のトラックの乗務中に重大事故を起こしたとすれば、「それでも当社に責任はない」と主張できるかは日常の管理態勢によるということになる。

    国が副業を後押しするムードにあるなかで、自動車の運転従事者について事情通らは「規程がなければ就業規則を変更し、副業禁止を盛り込むことは経営権で認められる。ただ、すでに副業に就いている従業員が多数いる場合は(禁止の根拠として)賃金アップや休日を増やすなど、合理的な説明がなければトラブルになる可能性もある」と注意を促す。長時間労働を是正する官民連携の取り組みが進んでいるが、それと並行して実運送レベルの運賃引き上げを急ピッチで進めなければならないことは明らかだ。

     
     
     
     
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