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    濁流にトラック消え… 西日本豪雨のツメ跡

    2018年7月20日

     
     
     

     西日本を中心に降り続いた「平成30年7月豪雨」は広島や岡山、愛媛の各県をはじめ広いエリアに深刻なダメージをもたらした。九州と関西を結ぶ物流の大動脈である山陽道と中国道、さらに国道2号まで冠水や陥没、のり面の崩落などで通行止めとなったことで一時、陸上交通は完全にマヒした。岡山県の北西部に位置する高梁市では高梁川が氾濫し、河川に沿って走る国道180号に面して拠点を構えていた運送会社の社屋および、大量のトラックを濁流が飲み込んだ。

     トンネル(東広島市)に土砂や流木などが流れ込んだ山陽道の復旧作業が遅れるなか、最後の通行止め区間となっていた「新見IC—北房IC」(岡山)が、9日午前に緊急処置的な工事によって解除されたことで中国道が全線開通し、ひとまずは細いながらも東西間の流れが復活した。かなり遠回りになるものの安全かつ、先を急ぐために日本海ルートを選択していたドライバーにとっては大幅なストレス解消となった。

     一方、「晴れの国」を襲った記録的な大雨は国民生活や、経済を支えるインフラである物流事業者にも大きな災禍となった。気温33度の真夏日となった10日、高梁市にある備中高梁運送事業協同組合を訪ねると、2階の床から40センチの高さにまで泥水の跡が残る事務所に職員2人が座っていた。「昭和47年の水害で河川の改修が行われていたが、まったく防げるレベルのものではなかった」と事務局長の佐藤晋司氏。高梁川の川底から計算すれば、ざっと水位は15メートルほどに達していたと見られる。事務所には大量の泥がたまっていたが「水も電気もこないから、洗い流すこともできない」と表情を曇らせる。

     同協組に加入するトラック事業者は6社。竹本秀忠理事長は「無事だったのは(拠点が別の)2社だけ。トラックや事務所を流されるなど被害は深刻だが、3年前に作り直した組合の自家給油スタンド(50キロリットル)に水が入り込まなかったのは幸い。目の前には厳しい光景が広がるが、組合員が助け合って早期の回復をめざすしかない」と気を引き締める。

     組合員ではないものの、近隣には保有車両の大半が水難にあった同業者もいるという。自身が会長を務める竹本商事運輸(同市)も石灰輸送用のタンク車など3台が流され、それとは別に3台が水没した。「6日の夕方5時半を回った頃、所用で出かけていた岡山市から戻ると『危ない』と感じる状態だった」と同社の三宅敏弘社長。同地には全体の2割ほどのトラックしか置いていないものの、「宵積みの車両などから優先して周辺の高台へ13台を移動させたが、6台は濁流のスピードにかなわなかった」という。

     地場産業である石灰の輸送に携わる組合員が中心の同協組で唯一、扱う荷物が家畜という津野辺運輸(同市)。津野辺和彦社長は「移動させた先で10台のトラックが水没した」と肩を落とす。「事務所はあそこ」と指示す方向に目をやると、横を走るJR伯備線の線路を挟んで反対側へ50メートルほど流されて傾いていた。話を聞く傍らではドライバーらが汗だくになり、スコップなどを手に片付け作業に追われていた。「豚の場合は病気の感染防止という観点から輸送車両があらかじめ指定されているため、だれにトラックを借りてもいいというわけにはいかない」との事情を説明。無事だった7台と、「あとは出入りしている牧場から車両を借り受ける格好で、きょうから業務を開始したところ」と前を向く。

     組合事務所を囲むように集団化した事業拠点を襲った豪雨。「みんなが協力し合い、本来の業務に支障が出ないように努めることだけを考えたい」と三宅社長。津野辺社長も、一昨年まで自身が会長を務めた高梁商議所の青年部メンバーがボランティアで復旧作業に顔を出してくれることに「本当にありがたい」と感謝する。

     
     
     
     
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