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物流ニュース
女性ドライバーが活躍できる環境づくりを
2019年8月23日
女性ドライバーの活躍を期待して創設された「トラガール」だが、現在でも割合は全体の2・4%ほど。およそ50人に1人という割合は「低い」と言わざるを得ない。しかし、中には女性ドライバーが70%を超えるという運送事業者もいる。女性が働きやすい環境を整えることで応募してくるのは、ほとんどが主婦だという。同事業者の取り組みと女性の働き方について専門家に話を聞いた。
ワーカーズ・コレクティブ・キャリー(横浜市旭区)は企業組合で、生活協同組合の配送委託を受けて事業を展開している。非営利目的で地域に還元したいという思いで事業を進めている落合純子理事長、田中弘美専務、橋葉千枝子常務に話を聞いた。「186人の組合員がいますが7割以上は女性、主婦です。平均年齢は40歳代。生協が発展した延長線上にワーカーズがあり、生協の組合員はほとんどが主婦です。男性に負けない新たな働き場所を開拓していくという誇りを持ってやっています」という。
「ドライバーといえば男性と思われがちですが、男性にはできない女性ならではの細やかな配送ができます。配送時間は4時間、積み込みや清掃など1時間と合わせて5時間。これを午前・午後の交代制でやっています。自分のライフスタイルに合わせてどちらかを選びます。午前なら子どもを学校に送り出して、帰ってくるまでに帰宅できます」と説明。「組合員を拡大していく中で若いママが多くなり、そのママたちが『働きたい』と言ってきました。働く場所をどのように整備するか。センター内に託児所を設置することにしました。現在、神奈川県内で約20人を預かっています。無料です。以前なら夏休みの時期になると、ママたちが相次いで休み、フォローが大変でした」という。
「どのようにすれば、この人を受け入れることができるのか、ということを考えます」と説明。「みなさん、『この曜日の午前中しか働けない』という方ばかりです。その他の部分を、どのようにフォローするのか。女性が働く上でネックになるものはさまざま。そのときどきの課題について、最善のものを探します」という。
新しい労働力を探す企業と新しい働き方を望む主婦・ママたちをつなぐ事業を展開しているマミーゴー(荻野久美子社長、東京都港区)。荻野社長は「運送会社には3Kのイメージがあって、ママたちが手を挙げるのはなかなか難しい。しかし、結婚、出産、育児をすると仕事への距離感や捉え方が変わります。それに適応した仕事を提供したいと考えたとき、その課題の一つが物流だと考えています」という。
「働きたいけど働けないママはたくさんいます。企業が働く環境やスタイルを変えることで、そのママたちを戦力に変えることができます。昨年1年間、その思いで進めてきましたが、前には進みませんでした。抱っこひもをしたママがベビーカーを押す感覚で荷物を運ぶという提案です。1日に3つか4つしか運べなくても、何百人のママが動けば大きな力になります。しかし、交通事故やケガの問題などを指摘されました。中には『子どもが3歳になるまで母親は家にいた方がいい』という考え方の企業もありました」と話す荻野社長。
「託児所も素晴らしいツールですが、企業の意識改革が必要です。ママたち2000人にアンケートしたのですが、ほぼ全員が配送員にはなりたくないと答えました。しかし、子どもと一緒なら働きたいというママは80%いました。働き方を変えることができれば、いままで潜在層だったママが顕在化されます。企業が働く時間に融通性を持たせることによって、もっともっと入ってくる人が増えます。これから置き配がもっと普及すれば、配送そのものが簡素化されるはずです。これは追い風だと思っています。企業側が、入って欲しい人たちが何を求めているかをしっかり把握し、働く環境を整備することが大切です」と指摘する。
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