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射界
2015年12月14日号 射界
2015年12月17日
「バカ丁寧」という言葉がある。職人や芸術家の世界では通用するかも知れないが、一般のビジネスでは必ずしも褒められるとは限らない。「バカ丁寧」は往々にして完璧主義にもつながる。仕事の結果に完璧を期するのは是としても、それに「バカ」が付くほど徹底することで付加価値が損なわれるリスクさえある。
▲たとえば、簡単なメモや口頭で報告すれば済む用件を、きちんとリポート用紙に作成して提出する。「表題はどうするか」「起承転結はできているか」「提案理由は?」「結論は?」と見事なリポートに仕上げる。さて、それを見た上司は「おいおい、こんなリポートをつくる時間があれば、他の仕事に振り向けられないのか」と、時間を有効に割り振って生産性を上げろ…とつぶやくだろう。▲これは極端としても、これに近いことは数多くある。完璧主義を決め込むのもよいが、ここまで「バカ丁寧」になっては百害あって一利なしにもなりかねない。必要以上のレベルの仕事に仕上げる思いは尊重するとしても、何事にも程度の問題がある。それを見極めて意に沿う仕事に仕上げるのも能力のうちである。これは、その人の性格に起因するかも知れない。
▲時間を考えるときに毎度、「1日24時間」は全ての人に不公平なく与えられている…と確認するが、時間の使い方やつくり方の密度は必ずしも同じとは言えない。単純に言えば、同じ仕事をAは40分で、Bは1時間で仕上げたとする。Aは残り20分を他の仕事に回して生産性を上げるのに対し、Bは完璧を期するため時間の融通性がない。完璧か生産性か、ビジネスで求められる価値観は言うまでもないだろう。
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