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射界
2017年11月13日号 射界
2017年11月17日
「世の中の人は、何とも言わば言え。わが成すことは我のみぞ知る」とは坂本龍馬の言葉だ。しかし現実は厳しい。種々雑多な浮世のしがらみに縛られて生きる普通の人は、ここまで割り切って世間の波間に漂うことは許されない。常に自分の言動について、他人がどう思うかが気になり、必要のない悩みの中で生活する。
▲気分転換のために、ちょっと目立つ装いを試みれば「生意気だ」と言われないか、新しい発想で少し奇抜な提言をすれば「難解で意味が曖昧」と歯牙にもかけられない。常に周囲の思惑を気にし、それが災いして本業にまで影響する。やっとプレゼンの機会を得て説明する中の1点を指摘され、説明できずに立ち往生する。途端に「わが身の不甲斐なさ感」が襲いかかってしどろもどろ。▲なぜ、こんな状態に陥るのか。基本的には人間関係の距離感が間違っているからではなかろうか。周囲の目を気にし過ぎる人は、必要以上に人間関係を近くに見る傾向があり、こちらの距離感と相手のそれが一致しないからではなかろうか。提案者は日頃の飲み仲間の認識であるのに対し、相手は完全に仕事モードで受け止めている。この違いが両者の気持ちを苛立たせているのだろう。
▲世間でよく話題になる「ゆとり世代」との食い違いも、そこに起因すると理解すれば、苛立つ思いに駆られる「モーレツ世代」も少しは気分が楽になるだろう。自分の周囲にいる人を全て一緒とするから違和感が生じる。やたらと近くに見据えたり、逆に遠くに置き過ぎると軋轢(あつれき)が起きる。龍馬の言う通りにはなれなくて、正しい同心円に置く心構えを養って実践することである。
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