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    古き良き時代忘れられぬ、経営者のジレンマ

    2010年6月14日

     
     
     

     20世紀型経営から21世紀型経営への転換が求められている。高度経済成長が終わり、成熟期を迎えた日本経済にあって、環境変化はいわば必然。当然、トラック業界を取り巻く環境も変化し、経済優先の考え方から安心・安全が求められる社会に変わってきている。こうした時代相を映して、ドライバーの労働環境の変化は著しく、経営者の悩みの種となっている。走れば走るだけ稼げた時代から、挨拶や身だしなみ、そして安心・安全が求められるようになった。労働時間の制約とともに、中型免許が創設され、業界の今後に大きな影響を及ぼす懸念も広がっている。



     21世紀型経営への舵取りが求められる中で、経営者が留意するべきことは、会社の財産である人材を、いかに時代に合わせて活用するかだ。

     「私がドライバーの頃は『時間に遅れるなら、もう運んでやらないよ』と平気で荷主に言えた時代」と話す千葉県内の事業者。30年近く前の話だ。仕事は選び放題、まさに?運んでやっている?感覚で、「あの時は本当に儲かった」と振り返る。

     その後、物流2法が施行され、規制緩和で新規参入が相次ぎ、競争が激化していく。運送会社にとって仕事を選べる時代ではなくなった。荷主との立場も逆転し、ドライバーは?運ばせてもらっている?意識に変化した。「荷主に文句を言おうものなら仕事がなくなるだけ」という現状だ。

     しかし、それでも走れば走るほど稼げる時代は続いた。「4?車で月100万円の売り上げは当たり前だった」という。

     だが、トラックによる重大事故が社会問題化し、ドライバーの労働環境が問題視された結果、過労運転への罰則強化が打ち出され、走れば走るほど稼げるという時代に終止符が打たれた。事業者は労働時間の制約を受ける中で、利益を出さなければならなくなった。

     中小が9割以上を占めるトラック業界、その経営者の多くはドライバーを経て運送会社を立ち上げている。その時代を思い返し、「寝る間も惜しんで働いて稼いだ」と話す経営者は少なくない。

     そうして会社を築いてきただけに、ドライバーの意欲があっても、法定労働時間を超えて働かせることができない現状にジレンマを感じ、苛立ちを隠せない。「運送会社は本当に旨みがなくなった」と口を揃える。

     21世紀型の経営があるとすれば、労働時間を守りつつ利益を出す、ドライバーにしっかりと納得できる賃金を支払う。「現状では無理」であれば、仕組みから変えていく。昔を経験してきた事業者にとって、未知なる挑戦だ。しかし、取り組まなければ淘汰されかねない。

     中型免許の創設でドライバー不足の問題が眼前に迫っている。時代にあった労働環境の整備を、喫緊の課題として取り組むことが必要だ。会社の財産である人材をないがしろにすれば、経営は成り立たない。いかにジレンマを払拭して転換が図れるか。この難局の打開が生き残りを左右するといえる。(高田直樹)

     
     
     
     
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