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    貸金業法の改正で弁護士に狙われる運送業者

    2010年6月25日

     
     
     

     トラック運送業は拘束時間や労働時間が他産業に比べて長いとされ、当然、残業代金も増えることになり、賃金の支払いに頭を悩ます経営者も少なくない。運送業の労務関係にくわしい関係者によると、この未払いとなっている残業代に目を付けた弁護士や司法書士の動きが出始めているという。これまで消費者金融会社への過払い金請求でビジネスを成り立たせている弁護士や司法書士は少なくないが、今月、改正貸金業法が完全施行され、過払金ビジネスは近いうちに消滅すると見られている。そのため弁護士らは、新たなビジネスとして未払い残業代に照準を合わせてきているとのことだ。


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     「弁護士から未払い残業代の内容証明書が届いたときは死刑宣告も同然。狙われたときはすでに手遅れだ」と強調する関係者。「今まで過払金訴訟で活躍してきた弁護士、司法書士が新たな食いぶちを求め、次は未払い残業代の請求に乗り出している。弁護士が手がけると未払い残業代は膨れ上がり、抜本的な対策を講じないと中小・零細事業者はつぶれる可能性もある」と警告を発している。

     18日に完全施行された貸金業法は、利息制限法と出資法の間の金利、いわゆるグレーゾーン金利での新規融資は違法となり、また、年収の3分の1を超える貸し出しも禁止され、消費者金融会社の経営悪化とともに、過払金返還請求も消滅していくと見られている。過払金返還請求に力を入れていた弁護士らは次の一手を打ち始めているようだ。

     未払い残業代請求の案件はこれまで、労働基準監督署からの是正勧告や個別労働紛争解決促進法(平成13年施行)による仲裁、労働組合との団体交渉など、主に労使による話し合いで解決が図られるケースが多かった。弁護士や司法書士から内容証明書が送付され、話し合いが決裂すると労働審判へ持ち込まれる。労働審判は通常の訴訟と同じ扱いになり、斡旋ではなく強制執行など実効性のある解決が図られることになる。

     労働審判へ持ち込まれると、未払い残業代の請求は2年間まで遡って権利が発生。また、その支払わなかった金額と同額の付加金と呼ばれる罰金のようなものが加わり、さらに支払日翌日から年6─14.6%の遅延損害金も請求され、残業代は20倍に膨れ上がる可能性もあるという。

     関係者は、「消費者金融会社の次は中小・零細企業が狙われている。とりわけ拘束時間、労働時間が長く、1運行いくらのトータルで賃金を支給しがちなトラック運送業は要注意」と指摘。「労働時間をタイムカードで管理していない、残業代が基本給・手当に含まれている、従業員の定着率がよくない、従業員を解雇する──などリスク要因があるところは早めに手を打つ必要がある。定額残業代制、残業の事前申告制、事業場外労働のみなし労働時間制、専門業務型裁量労働制の導入など対策を講じていく必要がある」と適正な労働時間管理を訴えている。(大塚 仁)

     
     
     
     
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