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守れぬ法令、取り締まりの「連座制導入」望む
2010年7月2日
社会的規制が強化され、コンプライアンスが求められるトラック業界。しかし、こうした規制強化が末端の下請け事業者さらには、その先のドライバーへしわ寄せとなっている。埼玉県の事業者は、「大手は自分たちでできないような厳しい仕事を我々中小に振ってくる。大手は法律を守れても、我々はどうあがいても守れない」とし、「規制を強化するのは結構だが、やるなら違反を犯している我々中小だけでなく、元請け業者も含めて責任を負わせるべきではないか」と、取り締まりの連座制導入を訴えている。
同社は、大型トラックでの雑貨配送をメーンに展開。同社が扱う荷物は大手物流会社が元請けとなっているケースがほとんどで、荷主の大半は大手物流業者になる。これまで運賃競争にさらされながらも何とかしのいできたが、「最近は先行きに期待が持てない」とこぼす。「厳しい状況になった背景には、景気悪化以外にも原因がある」と指摘する。同社長によると、「社会的規制が強化され、コンプライアンスが叫ばれるようになってから明らかにおかしくなってきた」という。
「大手事業者は法律を守れるだけの仕事をこなし、あとは下請けに流す。その仕事がとんでもないもの」という。例えば、同社が請け負っているのは大型トラックで1日約300キロ走行するもので、拘束時間は12時間超。大型で月100万円の売り上げは夢のまた夢で、70万円を超えればいいくらいだという。
「どう考えても利益の出ない仕事だが、こんな仕事を大手は平気で振ってくる」と同社長。「自分たちは法律を守っておいて、下請けには法を犯さないとできないような仕事を回してくる」と憤慨する。
さらに、「そうした厳しい仕事を任せておいて、過労の要因となるドライバーの固定を求めてきたりと、言っていることとやっていることが目茶苦茶だ」と訴える。「こうした中で、行政が取り締まりを強化しても、苦しむのは下請けだけ。行政の対応を考えると、これではトカゲの尻尾切り」と指摘する。
「そんな仕事は断ればいいといわれればそれまでだが、それができないところに我々の苦しみがある」と話す同社長は、「結局、会社を維持するために、ドライバーの賃金にまで手を加えなければならなくなる」と打ち明ける。
「運賃が大幅に下落し、厳しい経営環境を強いられている原因をつくっているのは、物流を知らない荷主ではなく、物流を知っている同業大手だ」という同社長は、「行政の監査が入る場合、監査が入るのは当該事業所だけでなく、少なくとも同業である元請けを含めて行うべき」と、取り締まり連座制の導入を訴えている。(高田直樹)
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