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    相手先の「ひき逃げ」発覚で買収計画を撤回

    2010年7月9日

     
     
     

     資金繰り悪化にともなう経営難から、会社を手放す経営者が増えている。会社の譲渡譲受が運送業界でも珍しくなくなってきた。千葉県の事業者も、資金繰りの悪化と後継者がいないという東京都内の運送会社を買収する手はずを整えていた。リース車両の手続きなどの準備を進め、間もなく買収が終わるという段階になって大きな問題が持ち上がってきた。結局、同社は買収を延期もしくは白紙にせざるを得なくなってしまった。


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     同社が譲渡譲受の話を聞いたのは、昨年末のことだ。知り合いの行政書士から紹介されたが、その事業者は先行き不安と後継者がいないという理由から、会社を手放すことを決めたという。「荷主は大したことはなかった」という同社社長だったが、「車両は30台あり、ドライバー付きで雇用できるのであれば魅力がある」と判断し、買収に動いた。

     借金はそれほどなく、経営も何とかやりくりができるという状態だった。早速、交渉のテーブルに着いた両社長は、買収に向けて詰めの協議を行った。「話し合いで、先方がもうやる気を失っていて、早く売却したいという姿勢がありありと見えた」。

     「なぜ、そんなに急ぐのか」と疑問に思った同社長は、相手先についてさらに調べを進めた。その結果、意外な事実が判明する。買収しようとしていた会社は、ドライバーがひき逃げ事件を起こしていたのだ。

     相手にその事実を確認したところ、相手は「別に隠していない」という態度で、悪気もないようだった。
     ひき逃げを起こした会社をそのまま買えるのか。不安になった同社長は役所へ相談に行った。ちょうど運輸局の特別監査が入ったばかりで、行政処分はまだ決まっていない段階だった。

     譲渡譲受は、役所の一言で一蹴されてしまう。「行政処分がまだの車両を動かしてはいけないと言われた。もし、それでも売却するなら、売却先に行政処分を受けてもらう」との厳しい叱責を受けたという。

     同社長は、処分逃れでないことなどを説明し理解を求めたが、役所からは、譲渡譲受は行政処分が終わってからするよう指示された。

     相手は、営業所の事業停止を含めた厳しい処分が予想されるだけに、処分明けまで生き残ることができるかという切実な事態に陥ってしまった。

     結局、同社は買収を一度白紙に戻し、処分を経て、まだ大丈夫ということが分かった時点で再度交渉していくという。「もし、気付かずにそのまま買収していたら、行政処分というおまけまでついてきてしまっていた」と話す同社長は、安堵の表情を浮かべるとともに、「運送会社の譲渡譲受は本当に難しい」とこぼす。(高田直樹)

     
     
     
     
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