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    法令順守に励んだ結果、「従業員の仕事の責任感が薄れた」

    2010年7月30日

     
     
     

     労働時間の管理や社会保険の完備など、従業員への待遇改善が求められる物流業界だが、その一方でコンプライアンス重視で雇用環境を整えることによって、ドライバーの責任感の薄さが表面化するという事態も招いている。「ドライバーを守れば守るほど、腑抜けになっていく」とこぼす埼玉県の物流事業者は、「持ち込みドライバーに仕事を任せた方が、荷主にとっても会社にとってもベターだ」と指摘している。



     仕事から戻ったドライバーを前にして、同社社長が叱責している。しばらく話を聞いていると、内容が見えてきた。

     同社のドライバーが乗るトラックが故障して、修理に出すことになったが、その修理に最低でも3日間を費やさなければならなくなった。ただ、同社長が指摘していたのは故障したことではなく、なぜ、そこまで故障に気付かなかったのかということだった。

     同社では、トラックの管理をドライバー自身に任せている。同社長自身もこれまでトラックに乗ってきたし、「プロドライバーであれば、商売道具であるトラックを管理するのは当たり前」という考えからだ。そのため他人が乗らないよう、ドライバー一人ひとりにトラックを与えている。

     今回の故障は日々気を付けていたら、もっと以前に発見できたもので、そうであれば修理もすぐに終わり、数日間を要するものでもなかったのだ。

     「日々、しっかりとトラックを管理してもらうために、一人ひとりにトラックを預けているのに、これでは意味がないだろう」と諭すように話す同社長は、謝るドライバーを下がらせた後、ため息をついた。「みんな責任感がなさ過ぎる」とこぼす同社長。コンプライアンスの徹底が求められる中で、同社も雇用環境を整えてきた。社会保険完備は当たり前で、有給休暇も実施して待遇改善に努めてきた。

     しかし、そうすることで責任感のない従業員の仕事ぶりが目に付いてきたのだ。「今回の故障はほんの一例で、仕事に対することでも、同様のトラブルが出ている」と話す同社長は、「会社が何とかしてくれると考えるから、仕事に責任を持たなくなる。その結果、いい加減な仕事をするようになる」と指摘する。

     少し前まで、同社では持ち込みドライバーを使っていたというが、「みんな責任を持って仕事に取り組んでくれていたので、まずトラブルは発生しなかった」と同社長は話す。

     「持ち込みドライバーは、トラックが故障すれば翌日から稼ぎがなくなる。生活に直結するわけだからトラックを大切にする」とし、「いい加減な仕事もなく、事故も起こさない」と付け加える。

     ただ、コンプライアンス重視から、同社では持ち込みドライバーをすべて切ってしまった。「法律を守ることは当然の義務であり、従業員の待遇改善も取り組むべき課題であることも理解できる」とする同社長だが、「待遇改善を図るということは、言い換えれば会社が甘くなるということで、結果的にドライバーの仕事に対する責任感が薄れていくのかなあ」とこぼす。

     「その人間次第なんだろうが…」としつつも、「現状をみるかぎり、何とも矛盾しているようだ」と戸惑いを隠せない様子だ。(高田直樹)

     
     
     
     
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