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    重大処分の原因解説「法令周知勉強会」開催、「初めてでも事業停止」

    2010年10月27日

     
     
     

     事業停止をはじめ、中国運輸局管内でも重大な行政処分が多発している現状を踏まえ、岡ト協は県内5か所を巡回する格好で「法令周知のための勉強会」を開催。県北地域の会員事業者を対象に、14日に開かれた津山市の会場にも多数の関係者が参加したが、「理屈はわかっても、いざ守れるかといえば別問題。ただ、具体的な中身が少し見えたのはよかった」との声も聞かれた。実名は伏せたものの、こうした勉強会で実際に出された行政処分を取り上げながら、行政や業界団体が詳細を解説するケースは珍しく、厳しい処分内容に翻弄される運送現場が異例の勉強会開催へと動かした格好ともいえる。



     津山市で開かれた勉強会の冒頭、県北エリアを担当する中岡海城雄・岡ト協副会長は「県内でも先に一発で事業停止となる例が出たが、そうなると従業員の生活、さらに会社の社会的な立場まで深刻になる。運賃下落は著しいが、いかに事業運営に当たるかを真剣に考えないといけない」と強調。

     勉強会後半で登壇した田中明夫・同専務理事も、重大処分を防ぐうえで「各種資料の記録や保存に加え、一つでも現状を改善する姿勢が不可欠」などと重ねて指摘した。

     講義の先頭に立った岡山運輸支局の森脇一典・運輸企画専門官は、昨年10月から厳しくなった行政処分基準の内容などを説明した後、先に14日間の事業停止(車両停止352日車)に至ったトラック事業者の実例を取り上げながら違反の詳細および、それに科せられた厳しい処分内容を解説。

     そのなかで、付与される違反点数(日車数)の計算方法にも触れ、「丸々の違反点数で計算される『最大の違反項目』と『運転者に対する指導・監督の不適切』に、『それ以外の違反』の合計点数を半分にしたものが合算される」と説明した。

     一方の田中専務も、それまで一切の違反(点数)がなかったという別の事業者が前出の処分例と同様に、初めての違反行為だったにもかかわらず、「再違反」が適用されたことで事業停止7日間(車両停止371日車)という重い行政処分になったケースを検証。

     あらためて「初めての行政処分でも再違反を問われる場合」について解説するとともに、日常の管理業務の再チェックを促した。

     また、違反内容について森脇専門官は「トップは点呼の25%。これに過労運転と乗務員の指導・監督を加えた3項目の違反で全体の60%近くになる」と指摘。

     一方、県適正化実施機関がまとめた巡回指導の状況を見ても「ドライバーへの指導・監督」(72.5%)、「点呼の実施および記録、保存」(60.1%)を指摘される例が突出しており、「2泊3日以上の運行に求められる中間点呼の確実な実施(記録・保存)などとともに、いわゆる11項目(貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針)をクリアするための年間計画を作成することも重要」と補足した。

     「飲酒や過労、無免許などの悪質違反を事業者が下命・容認」または、「同違反行為にかかる指導・監督を明らかに実施していない」と判断された場合には一発で事業停止となる時代だが、むしろ気になるのは「処分日車数の積み上げ」による事業停止だろう。

     仮に初めての行政処分であっても、同一運輸局管内の事業所の違反点数(日車数)が27点(270日車)以上になった場合は「3日間」、36点以上なら「7日間」、50点を超えれば「14日間」の事業停止。すでに累積点数を抱えていれば、さらに事態は深刻になる。

     事業者サイドから見た最大の懸念は、初めて違反行為を指摘されたにもかかわらず、「再違反」として重いペナルティーを適用されること。大ざっぱにいえば再違反の場合、初回違反の3倍に相当する日車数が違反項目ごとにカウントされることになってしまい、結果として「アッという間に事業停止の点数に達してしまう」状態に陥ってしまうからだ。

     同日の勉強会で取り上げられた二つの事業停止処分も同様に再違反が適用されているが、もし初回違反による点数で計算されていたら、結果は大きく違っていた。

     59点をカウントされて「14日間の事業停止と352日間の車両停止」などの深刻な処分を受けた事業者の場合、初回違反で計算すれば195日車で合計点数は27点未満。一方、累積42点で「事業停止7日間と車両停止371日」を科せられたケースも同様に、初回を適用して計算すれば、積み上げの違反点数は14点(140日車)にとどまるために事業停止には至らなかったことになる。

     重要なのは「初めてでも再違反を問われるケース」を十分に理解しておくことだ。結論からいえば、「事故報告書に規定する事故または、20人以上の軽傷者を生じる事故を起こした場合」「過積載運行または最高速度違反を犯し、かつ事業者が下命・容認していたとして公安委員会から道交法通知(108条通報)があった場合」「過労・酒酔い・酒気帯び・薬物等使用・無免許・無資格運転、または救護義務違反を引き起こしたとして同通報があった場合」「勤務・乗務時間にかかる基準の違反項目が31件以上あった場合」が前提となるが、それを踏まえた監査で見つかった違反項目には初回の3倍となる点数が積み上げられるという。

     108条通報により、警察の段階で「悪質違反の下命・容認」という判断が示された場合、事業停止を免れない可能性が高い。一方、基準日車数の積み上げ方式による行政処分となる場合でも、計算式に再違反が適用されれば、延べ点数は驚くほど大きなものに変わることを認識することが重要だ。

     いずれにしても行政側に「(事業者が)明らかに指導・監督を怠っている」と決定付けられないように、日ごろの地道な取り組みが不可欠だ。(長尾和仁)

     
     
     
     
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