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「クレーム社会」に困惑 ネット普及で直接荷主へ
2011年4月25日
買い手市場が続く中、荷主の運送会社を見る目は、より一層厳しくなっている。加えて、インターネットの普及がそれを加速させており、これまでなら担当者レベルで解決できていた問題が、大きなトラブルに発展するケースも出ているようだ。埼玉県内の事業者は食品輸送を手掛けており、中でも小売店舗への配送が業務の主流を占めている。同社社長によると、荷主の同社を見る目が年々厳しくなっているという。
例えば、ドライバーが少しでも無愛想な態度を見せると、すぐにクレームとなる。「時間通りに無事に運べば文句を言われなかった時代とは明らかに違う」と同社長は話すが、単なるクレームで、始末書だけで済めばまだいい。それ以上のトラブルに発展してしまうケースも珍しくないという。「これまでなら、担当者レベルで謝れば事足りていたが、今はそれができなくなり、なあなあの関係はもはやなくなった」と話す。担当者同士での解決が難しくなった背景には、インターネットの普及があるとも指摘する。
外食チェーンである荷主は、自社のホームページを開設しているが、その中で顧客からの意見や要望を集めている。顧客は荷主のホームページを開けば、容易に荷主にアクセスできる。
例えば、駐車スペースがなく、仕方なく路肩にトラックを止めて荷下ろしをしている。当然、車線を占領してしまっているので、交通の妨げにはなってしまう。その際、邪魔になった乗用車のドライバーが同社に直接クレームをいうのではなく、ホームページを通して荷主にクレームを入れてくるのだという。
また、通路が一か所しかなく、仕方なく店に並んでいる客の前を納品のために通った際、同社のドライバーがあいさつをしなかったと、並んでいた客がクレームを入れてくることもあるという。
これまでも、こういったクレームがなかったわけではない。しかし、これまでは担当者レベルで事なきを得ていた。だが、今はそうはいかない。顧客の要望や意見は、荷主の役員も目を通している。そのため、クレームが入ると、その原因を役員が追及してくるのだ。
その結果、「現場サイドで仕方がないという問題でも、改善策を施さなければ、荷主が納得しない」のだ。
「役員が出てくれば、『なあなあ』では済まされない」という同社長は、「そうしたクレームが入った場合、最悪、ドライバーをチェンジしなければならなくなる」のだという。これくらいは…というほどの些細なことでも、ドライバーが出入り禁止を求められるケースもあり、同社長は、「本当にドライバーがかわいそうなときもある」という。
「最近は、消費者が強くなり、言ったモン勝ちという風潮がある」と指摘する同社長。クレーム社会がますます広がってきており、仕事がどんどんやりにくくなる」とこぼしている。(高田直樹)
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