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    接触8割削減にゆれる 点呼と巡回指導、対面は必要か

    2020年4月24日

     
     
     

     「人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減することができれば…」。新型インフルエンザ等対策特措法に定める緊急事態宣言を発出した政府対策本部長を務める安倍総理大臣は7日、新型コロナウイルス感染者の増加を2週間後に減少に転じさせるため、人々の接触機会を大幅に減らすよう呼びかけた。在宅でのテレワークでも完結できる業種と違い物流は、不特定の人との接触を余儀なくされる場面が多くある。その中の管理業務の「点呼」、そしてそれらの管理業務が各事業者によって適正に実施されているかを見る「巡回指導」に着目し、これらの管理業務を回すための前提となってきた「人と人との接触」が本当に必要なものなのかをチェックしたい。

     「この1か月間はウイルスを封じ込める時期。矛盾と怒りを感じながら営業を続けている」。神戸市内のトラック事業者は10日、本紙にそう話した。「休業を要請されている業種に比べれば贅沢な悩みなのかも。しかし、社内で感染者が出てしまった場合の会社存続のリスクもある」という。

     社外との接触機会のコントロールは難しいが、社内の人間同士の接触はそれこそ極力避けたいのが本音だ。しかし、運転者に対する運行管理者の業務「点呼」は、「対人」で行うことが法令で義務付けられている。

     貨物自動車運送事業輸送安全規則(国土交通省令)は7条1項、2項で乗務の前後での「対面」による点呼を求める。省令に「対面」の文言が入っているのはなぜなのか。自動車局安全政策課によると、「健康状態などについて、顔色や声色の普段との違いを至近距離で確認するため」という。

     人と人との接触機会削減が求められる中でも、「対面」点呼は必要か。同課は、「マスクを着用するなどで感染防止をお願いしている。点呼が原因で罹患した事例が出れば省令改正も含めて対応していくのは当たり前。しかし、そうした事例がないなかでは、運行上の安全も大事」と話している。

     点呼業務での「対面」要件は、すでに省令の中でも外されてきた経緯がある。Gマーク取得事業所などの要件を満たすことで「至近距離」での点呼を緩和してきたものだ。

     また国交省は今年度末までに、運行管理者側の働き方改革を促進する流れに位置づける形で「人間と同程度」(同課)のAIロボットであれば法令上の点呼とみなす「AI点呼」についても検討会を開くなどして解禁していく方向だ。「『人間と同程度』をどういう形で見ていくかを検討している」(同課)という。

     「人と人との接触削減」は、貨物自動車運送事業法に記載のある「適正化事業実施機関」(=トラック協会、同法38条)による「指導」(同39条)のあり方も問うている。

     兵ト協(神戸市)は適正化機関としての巡回指導を中止していることを、3月中旬の理事会で表明。「(全国機関の)全ト協から、新型コロナウイルス感染防止策として指導があった」とし、年間840件の指導目標に対して662件の実績に留まることを報告した。

     巡回指導は、国交大臣から同法上の「適正化事業実施機関」の指定を受ける各ト協の職員が2人一組で各事業所を訪問し、事業所の運行管理などの状況を、対面形式で質疑を重ねるもの。全国で年間約2万7000件の巡回がなされている。

     同法には「指導を行うこと」(39条)とだけしかなく、巡回や対面などの手法については記載がない。国交省貨物課は、「対面や巡回の形式は国交省からは指示しておらず、対面でなくても書面での提出もあると聞いている」とし、形式については全ト協が作成した指導指針で定めているとする。

     その上で同課は、「今後感染収束が全く分からない中では、巡回指導が全くできなくなる可能性もある。場合によっては対面によるものではない形になる可能性もある」としている。

     全ト協適正化事業部は巡回指導の中止について、「(国交省による)監査の自粛を伝える文面が国交省からあり、その中に適正化事業も柔軟に対応するよう求める文言があった」とし、全国のト協に巡回指導を中止するよう求める書面を2月28日に出したという。再開のめどについては、「国交省から連絡があれば」と述べるにとどまる。

     指導が対面による必要があるかどうかについて同課は、「(運行管理などの記録に)書き損じのある事業者もあり、(実施機関側の)質問と(事業者による)説明が必要。対面によるもの以外はありえないと考える」と話している。

     通勤電車や企業でのミーティング、スーパーの行列など人の生活のそこここの場面で、人との接触を避けるための意識変革が見られる。

     一方、新型コロナウイルスに対処するための方針(7日改定)のなかで「物流・運送サービス」は、社会の安定の維持のためとして金融など7つのサービスとともに「最低限の事業継続」が要請されている。休業要請によって開けたくても店を開けられない商店などの存在を横目に、「いっそのこと、安倍さんには全面ストップを要請してほしかった」と話す運送事業者も数多い。

     感染リスクを犯しながらの運送サービスの継続—。そうであるならば、それを避けるための行動やあり方を少しでも模索したいと考えるのは、ごく自然なものだろう。

     本文中のAI点呼に関して点呼機械を開発した事業者は、「この点呼機械ではどうか、と国交省に掛け合おうと思っていた矢先の新型コロナウイルス。当分は動けない」と話す。「人間と同程度」のための要件が国交省からなかなか示されないがゆえ、外部販売にも勢いがつかなかった経緯がある。

     積み残してきた課題、そして従来からのやり方の踏襲。それらがあいまって、技術上可能なことにもかかわらず、利便を受けられていない現場がまだまだあろう。現場目線の大切さを、今回のウイルス禍は問うているような気がしてならない。

     
     
     
     

    この記事へのコメント

     
    1. k2 says:

      対面点呼ではある程度距離を取れますが、そもそもアルコールチェッカーを共用してますから…吹いて使うものとは言え、オッサン同士の間接キスに近い濃厚接触を当たり前に毎日全員2回やっております…

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    2. 匿名 says:

      いらない決まり事ばかり増やさないで
      対面点呼も、建前に過ぎない会社ばっかり。 働き方改革のせいで、稼ぎ少なくなって、恨みます💢

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    3. tak@ says:

      酒飲まないのに飲酒チェックは不要。
      それなのに車庫とは別の事務所にわざわざ接触を増やしに行くのは意味不明。
      10時間以上も外で働かされてるのに、外出自粛や接触削減8割は全くもって意味無し
      ましてや感染者が多数出てるトコロに何も考えずに行かせるとか、昼も夜も働かされて死ねと言われてるも同然。
      コンプライアンスと生命とどっちが大切なのか無能topは何も考えてない

    4. ナナシ says:

      外で仕事をしてるのもどうかと思うのに点呼の接触とか別にって話。やったら物流を止めろって事。

    5. 港のカイコン野郎 says:

      自分は、関東でコンテナ輸送しています。
      本音を言えば、仕事休んで、家に引き篭もりたいです。これだけコロナ感染が広まっているのに、東京港埠頭株の人達は、何も対策を打たない、プラカードの使い回しは当たり前、

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