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ブログ・経営承継支援
第4回「譲渡金額が減額となったケース」
2020年5月13日
皆様、こんにちは。
経営承継支援M&Aコンサルタントの柿原悠佑です。
今回は、東海にある年商2億円の運送会社が、同じく東海にある年商25億円の同業に対して事業譲渡でM&Aを行った事例をご紹介し、将来的に事業譲渡スキームを検討される方に、「部門別PLを準備すること」の重要性をお伝えします。
譲渡企業は人材派遣業と運送事業をお持ちで、そのうち運送事業の譲渡を希望していました。「スピードを優先して進めてほしい」とのことで、譲渡企業から開示された部門PLを一旦正しいものとし、譲受企業へ譲渡企業を紹介するための会社概要資料を作成しました。
すぐに各方面にアプローチを行い、結果、2週間で強い買収意欲を持つ企業を発見し、基本合意締結まで進めました。
譲受企業は運送業を主業としており、新規出店を考えていたエリアに合致し、M&Aをご検討いただきました。
ですが、買収監査ののち、譲渡企業から開示されていた部門PLの数字が大幅に間違っていることが判明しました。
年間2000万円程の利益が出ていることになっていましたが、実際はその約半分。理由は、運送事業に計上されるべき費用が共通費にされていたり、そもそも別部門の売上が運送部門の売上に含まれていたことなどでした。
開示されている資料が正しくないと分かった結果、譲受企業から提示されていた金額の3分の1まで評価額が下げられてしまいました。
譲渡企業としても流石に破談を検討されましたが、弊社にて譲受企業が保守的にみられていた数値などを改めて検証し、監査対応された会計士とも協議を重ね、最終的に当初の3分の2程度の評価額となりました。
その後、譲渡企業に説明し、ご納得頂いた上で、特に両社にわだかまりを作ることなくM&Aが実行されました。
事業譲渡を進める場合、開示された部門PLが正しい前提で交渉は進められます。
譲渡金額はそのPLの収益を元に試算するため、前提が間違っていると大きな問題となり、譲受企業はもちろん、監査を対応する会計士や税理士も保守的にならざるを得ません。評価額が大幅に下がることもありますし、破談になることもあります。
部門PLが精緻に集計できている自信がないようであれば、それもコンサルタントに相談してください。
業界に精通しているコンサルタントであれば、部門PLの修正作業などもできるかと思います。
◎関連リンク→ 株式会社経営承継支援
柿原 悠佑
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筆者紹介
経営承継支援
価値をつなぐ、想いをつなげるM&A
中堅・中小企業の円滑な事業承継のためのコンサルティング業務と中堅・中小企業の継続・発展に資するM&A仲介・助言業務が得意。
https://jms-support.jp/柿原 悠佑 (コンサルティング部 マネージャー)
早稲田大学卒業後、専門商社にて海外拠点の立ち上げを行ない、3年半支社長として活動。 その後、大手広告代理店に転職し、建設業向けコンサルティングを行ないつつ、新規契約額、件数にてトップ成績を残す。 2016年からは大手M&A仲介会社に移り、多数のM&Aを成立させ、2017年株式会社経営承継支援(現、株式会社経営承継支援)に入社。運送業やクロスボーダー案件等を中心にM&Aアドバイザー業務に従事。 -
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