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ブログ・小山 雅敬
第184回:若手社員の定着に向けた運送会社の取り組み
2020年6月9日
【質問】最近は、求人募集をしても若年者の応募が皆無に近く、たまに入社してきても、すぐに退職する傾向があり困っています。若手社員の定着を図るために他の運送会社が行っている取り組みの事例があれば教えてください。
弊社関与先の運送会社が実際に行っている取り組み事例をいくつかご紹介します。
A社は首都圏の郊外都市に所在する中堅運送会社です。個性的な経営者のリーダーシップのもと、比較的多くの若手社員が集まってくる会社です。A社では社員紹介制度に力を入れており、最近も口コミによる紹介入社が増加しています。職場では社員が互いにあいさつを交わし、まるで部活動の先輩後輩の関係に似た仲間意識を持って働いています。
A社では、若手社員の定着を図るため、社員間で懇親会を開く場合は、その費用の一部を援助する制度を採り入れています。会社主催の社内行事も毎年実施していますが、それだけではなく、日常の非公式なコミュニケーションが最も大事との考え方です。翌日の勤務に支障があるような飲酒は、もちろん禁止ですが、社員3人以上で会食する場合、事前に申請すれば費用を補助しています。
また、別の運送会社B社は、社長と新入社員との面談を月1回の頻度で一年間実施しています。B社は関西の地方都市に所在する中小運送会社です。社長面談のほかに、新入社員を管理する所属長には、週1回の面談記録の提出を義務付けており、面談時に聴取した質問や要望事項、その時に指導した内容などを報告させ、経営層で共有しています。その報告内容をもとに、日常の声がけで本人を励まし、コミュニケーションを図るように努めています。B社では退職する社員はほとんどなく、高い定着率を継続しています。
別の中堅運送会社C社では、未経験の新入社員が着用する帽子や腕章の色で他の社員と区別し、その色の帽子や腕章をつけている社員を見たら、全員が丁寧に教え、声がけをするように徹底しています。全員で新入社員の面倒を見ようという取り組みです。新入社員は社内の誰にでも気兼ねなく質問をすることができます。
また、関東の地方都市に所在する中小運送会社D社は新入社員に1年間サポート役をつけるメンター制度を採り入れています。先輩社員のメンターから新入社員の状況を聴取し、社長や役員が意識的に声がけをするように努めています。また、D社は手作りの社内報を毎月発行しており、必ず新入社員の紹介を詳しく載せて、人柄などを伝え、仲間意識を高めています。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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