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運送会社
スナックフード・サービス「ゼロイチ運動」でムダ省く
2009年7月14日
90年、カルビー(中田康雄社長、東京都北区)の物流部の一部を切り離し、物流専門の企業として設立したのが、スナックフード・サービス(永島悟社長、栃木県宇都宮市)。設立当時はバブル全盛期で、カルビーの売り上げが好調に伸びるなか、3K(キツイ、汚い、危険)職場と言われた物流の現場では人材確保に苦労していた。
「まず人手の確保とリードタイムの縮小で卸・問屋側の在庫負担の軽減、さらに鮮度の良い状態で商品をスムーズに届けるシステム構築が求められていた。メーカーはあくまで生産するのが仕事。年間312日・24時間稼働の物流とは勤務体系もすべて異なるため、物流の問題は自社運営という物流専門の立場で解決する必要があった」と話す永島社長。当時から今なお、実運送は協力運送事業者にアウトソーシングしているが、自社車両も動かして運送現場の実情把握に努めている。
「スナック菓子類はかさばって低価格のため、物流費率が高くなる。ポテトチップスの原料・ジャガイモは80%が北海道で生産されるが、消費地に立地する工場で生産し、物流コストを抑えるようにしている。それでも更にムダを省いて効率アップを図らねばならないが、一番のムダは出荷上のミス」と語る。
そこでスタートしたのが「ゼロイチ運動」。受注ミス、破損、誤納、接客不良といった輸送品質全般において、ミスの値を現状値から0.1以下、すなわち10倍の不良率削減を目指す。「まず職場ごとにチーム分けをし、チーム内で問題点や不具合を徹底的に洗い出し、自分たちの職場(ポジション)のあるべき姿について話し合って解決方法を考える。さらにチーム内で進捗状況の調査や達成度合いの評価も行う。データの読み方や問題解決までの手順なども学べるため、社員教育などにも役立つ」と説明。
チームでの取り組みには協力運送事業者も含まれており、少しずつ改良を加えながら発足から19年経った現在も続けられている。その結果、東日本地区で年間に約5万台の問屋向けの出荷に対し、ミスの数は数十回に抑えられているという。
全国で約100社の協力運送事業者との契約を持つ同社は、年2、3回のペースで「方針説明会」を開き、輸送品質の保持と問題解決に力を注ぐ。カルビーでは店頭の鮮度保証実現のため、76年から流通菓子で初めて製造年月日表示を実施した。カルビー製品の在庫は3日分程度、卸・問屋の客先までの150ある配送ルートは、すべてリアルタイムで運行管理しているという。
得意先の生産性向上支援と鮮度保証のシステムを確立し、ルート配送は増車することはあっても減車は一切しない方針を貫いている。永島社長は、「CO2排出削減も含めて効率化を図る努力として、カルビー以外の約10社の問屋配送も受託。共同配送で積載率を高め、輸送効率アップを進めている。昨秋からは受注管理も全国から受ける体制となった。親会社カルビー商品の扱い量も増加している。今後は他社商品の扱いも増やして、3年後には年商100億円を目指す」としている。(小澤裕記者)
永島悟社長 -
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